債権の管理・回収(取引開始前のチェックポイント)~相手方の情報収集~
食品会社のA社が、B社との間で新たに取引を開始することになりました。
このような場合、仮に取引がうまくいかなくなってしまっても、A社として確実に債権を回収できるように、B社についての情報を「事前に」収集する必要があります。
資産状況に関する情報収集
具体的には、不動産、預金(取引銀行)、保険、在庫商品、自動車等々の資産の有無等です。これらは、仮にB社が売掛金を支払えなかった場合に、A社として、回収にあたって強制執行等の手続をかけていく可能性があるためです。
取引先に関する情報収集
B社の取引相手を把握しておけば、いざ売掛金の未払が生じた段階で、B社の取引先に対する売掛金について、強制執行をかけていく可能性があります。
そのため、取引先についても、可能な限り情報収集をしておくべきでしょう。
取引開始前に情報収集を行う重要性
情報収集の困難性
いざ売掛金の未払が生じて、B社の資産や取引先に対する売掛金から回収したい・・・と考えても、その時点からでは情報を把握できない可能性があります。
そのため、取引開始前の段階で、出来る限りの情報を把握しておくべきでしょう。
各種手続の時間的な問題
例えば、後日B社に倒産疑惑が生じた場合、A社としては、他社に先駆けて、自らの債権を回収するために、行動をする必要があります。
特に法的手続として考えられるのは、「保全処分」です。
B社が倒産状態となった後に、速やかに保全処分をとって、上記の不動産や預金、取引先に対する売掛金等から優先的に回収ができるように行動する必要があります。
例えば、倒産疑惑が生じるまで、まるで上記のような情報を把握していないと、情報を把握している他社に先を越されてしまう場合も多いためです。
まとめ
以上のとおり、新規の取引を開始するにあたっては、取引開始前に、出来る限りの情報を把握しておき、いざという時のための備えとするべきでしょう。
なかなか各種情報の提供を受けることが難しい場合には、信用調査会社の情報等を利用することも考えられるところです。