漁業法QA⑤(内水面漁業)

Contents

VIII 内水面漁業について

内水面とは、河川・湖沼といった海面以外の水面のことをいいます。

本項では漁業法等において定められた内水面漁業にかかる規制についてQA形式にてご説明します。

 

Q158.内水面漁業については漁業法においてどのような配慮がされていますか?

A. 内水面は、海面に比して自然的豊度が高くなく、採捕が容易であり、資源枯渇が生じやすいという性質、及び、生業とする漁業者が少ない一方で兼業的に営む者が多く、組合員以外の採捕者も多いことから、公共的性格が強いという性質を有します。

内水面における共同漁業については、藻類、貝類、定着性の水産動物を目的とする第1種共同漁業に該当するもの以外は第5種共同漁業に統合されています(法60条5項1号・5号)。そして、この第5種共同漁業については、漁業協同組合、または漁業協同組合連合会に免許し、その組合などに増殖義務を課すこととされています(法168条)。これにより、内水面の漁場管理が適切に行われ、内水面の資源の維持・増大、および有効利用を図ることとされています。

なお、ここでいう「増殖」とは、人工孵化放流、稚魚又は親魚の放流、産卵床の造成等の人為的手段によって積極的に採捕の目的となる水産動植物の数及び個体の重量を増加させる行為を指し、養殖のような高度の人為的管理手段は必要としないものの、単なる漁具、漁法、漁期、漁場及び採捕物に係る制限又は禁止等の消極的行為にとどまるものは含まれないと考えられています。

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第六十条(定義)

1~4(略)

5 この章において「共同漁業」とは、次に掲げる漁業であつて一定の水面を共同に利用して営むものをいう。

 一 第一種共同漁業 藻類、貝類又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業

 二~四(略)

 五 第五種共同漁業 内水面(海面以外の水面をいう。以下同じ。)又は第二号の湖沼に準ずる海面において営む漁業であつて第一号に掲げるもの以外のもの

6~9(略)

第百六十八条(内水面における第五種共同漁業の免許)

 内水面における第五種共同漁業(第六十条第五項第五号に掲げる第五種共同漁業をいう。次条第一項及び第百七十条第一項において同じ。)は、当該内水面が水産動植物の増殖に適しており、かつ、当該漁業の免許を受けた者が当該内水面において水産動植物の増殖をする場合でなければ、免許してはならない。

 

Q159.内水面における第5種共同漁業の免許を受けた者が、水産動植物の増殖を怠っている場合の制裁規定は法に定められていますか?

A. 法169条1項に規定されています。都道府県知事は、上記場合に、内水面漁場管理委員会の意見を聴いて増殖計画を定め、当該懈怠者に対し、当該計画に従って水産動植物を増殖すべきことを命ずることができます。かかる命令を受けた者がその命令に従わない場合、都道府県知事は、当該漁業権を取り消さなければなりません。(同条2項)。

増殖を怠っている魚種が、漁業権の内容となっている複数の魚種のうちの一部である場合は、当該魚種の増殖が当該漁業権の増殖義務の主要な部分を占めていると判断されるときに限り、当該漁業権が取り消されることになります。

農林水産大臣は、内水面における水産動植物の増殖のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、上記命令をすべきことを指示し、または当該命令に係る増殖計画を変更すべきことを指示することができます(同条4項)。

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第百六十九条

1 都道府県知事は、内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者が当該内水面における水産動植物の増殖を怠つていると認めるときは、内水面漁場管理委員会(第百七十一条第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない都道府県にあつては、同条第四項ただし書の規定により当該都道府県の知事が指定する海区漁業調整委員会。次条第四項及び第六項において同じ。)の意見を聴いて増殖計画を定め、その者に対し当該計画に従つて水産動植物を増殖すべきことを命ずることができる。

2 前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは、都道府県知事は、当該漁業権を取り消さなければならない。

3(略)

4 農林水産大臣は、内水面における水産動植物の増殖のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定による命令をすべきことを指示し、又は当該命令に係る増殖計画を変更すべきことを指示することができる。

 

Q160.内水面における第5種共同漁業の免許を受けた者が、当該漁場の区域において、その組合員以外の者による水産動植物の採捕(遊漁)を制限したいときはどうしたらよいですか?

A. 法170条に従い、遊漁規則を定めます。

遊漁規則は都道府県知事の認可を受ける必要があります(同条1項)。遊漁規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じません(同条8項)。遊漁規則には、遊漁についての制限の範囲(同条2項1号)、遊漁料の額及びその納付の方法(同項2号)、遊漁承認証に関する事項(同項3号)、遊漁に際し守るべき事項(同項4号)、漁場監視員に関する事項及び違反者に対する措置に関する事項(同項5号、施行規則57条)を定めます。

都道府県知事は、遊漁規則の制定について、認可の申請があったときは、内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければなりません(法170条4項)。そして、都道府県知事は、遊漁規則の内容が、①「遊漁を不当に制限するものでないこと」、②「遊漁料の額が当該漁業権に係る水産動植物の増殖及び漁場の管理に要する費用の額に比して妥当なものであること」のいずれにも該当するときは、認可をしなければなりません(同条5項)。

ここでいう「不当に制限」とは、水産資源の維持、漁業紛争の防止その他組合員の当該漁業に対する生活依存度等を考慮して行う必要最小限度の制限に収まっていない程度のものをいいます。また、「遊漁料の額が……費用の額に比して妥当なものである」かどうかは、増殖及び漁場の管理に要する費用の算定が妥当に行われているか、組合員の負担額と遊漁者の負担額が実質的にみて公平に配分されているといえるかなどといった観点から判断されます。

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第百七十条(遊漁規則)

1 内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者は、当該漁場の区域においてその組合員(漁業協同組合連合会にあつては、その会員たる漁業協同組合の組合員)以外の者のする水産動植物の採捕(次項及び第五項において「遊漁」という。)について制限をしようとするときは、遊漁規則を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。

2 前項の遊漁規則(以下この条において単に「遊漁規則」という。)には、次に掲げる事項を規定するものとする。

 一 遊漁についての制限の範囲

 二 遊漁料の額及びその納付の方法

 三 遊漁承認証に関する事項

 四 遊漁に際し守るべき事項

 五 その他農林水産省令で定める事項

3(略)

4 第一項又は前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければならない。

5 都道府県知事は、遊漁規則の内容が次の各号のいずれにも該当するときは、認可をしなければならない。

 一 遊漁を不当に制限するものでないこと。

 二 遊漁料の額が当該漁業権に係る水産動植物の増殖及び漁場の管理に要する費用の額に比して妥当なものであること。

6、7(略)

8 遊漁規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。その変更についても、同様とする。

 

漁業法施行規則(令和2年7月8日農林水産省令第47号)

第五十七条(遊漁規則に規定すべき事項)

 法第百七十条第二項第五号の農林水産省令で定める事項は、次のとおりとする。

 一 漁場監視員に関する事項

 二 違反者に対する措置に関する事項

 

Q161.遊漁規則を変更することはできますか?

A. 遊漁規則の変更は、都道府県知事の認可を受けることによって、その効力を生じます(法170条3項・8項)。遊漁規則の変更の認可の申請があったときは、都道府県知事は、内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければなりません(同条4項)。

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第百七十条(遊漁規則)

1、2(略)

3 遊漁規則を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。

4 第一項又は前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければならない。

5~7(略)

8 遊漁規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。その変更についても、同様とする。

 

Q162.遊漁規則を定めていない漁業権の対象となっている漁場へ、内水面の漁業協同組合員以外の者が立ち入って水産動植物を採捕した場合、かかる行為は漁業権侵害となりますか?

A. 水産庁は、遊漁規則の定めがない漁業権漁場において、遊漁者が漁業権者の同意を得ることなく、漁業権の内容となっている水産動植物を採捕しても、漁業権の侵害とはならない旨を回答しています。

 

Q163.漁業権の対象となっている魚種とそうでない魚種を混獲している者に対し、遊漁料を納付させることはできますか?

A. 内水面における第五種共同漁業権者に対しては増殖義務が課されていますが(法168条)、増殖をしない魚種については第五種共同漁業権の内容とすることはできないと考えられています。

もっとも、漁業権の内容となっていない魚種を採捕する名目で、漁業権の内容となっている魚種を混獲している遊漁が行われることがあり得ます。このような場合において、当該遊漁行為が漁業権対象魚種の採捕をも含むと客観的に認定されるときは、遊漁規則に基づいて定められた遊漁料を納付させることができると考えられています。

 

Q164.内水面漁場管理委員会とは何ですか?

A. 内水面漁場管理委員会とは、都道府県に置かれ、都道府県知事の監督に属する、当該都道府県の区域内に存する内水面における水産動植物の採捕、養殖及び増殖に関する事項を処理する行政委員会のことをいいます(法171条、漁業法施行令18条)。

なお、漁業法施行令上は沖縄県については内水面漁場管理委員会を置かなくてよいこととされていますが、現状は沖縄県にも同委員会が置かれています(※)。

https://www.pref.okinawa.lg.jp/shigoto/suisangyo/1010974/1022736/1010993.html

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第百七十一条(内水面漁場管理委員会)

1 都道府県に内水面漁場管理委員会を置く。ただし、その区域内に存する内水面における水産動植物の採捕、養殖及び増殖の規模が著しく小さい都道府県(海区漁業調整委員会を置くものに限る。)で政令で定めるものにあつては、都道府県知事は、当該都道府県に内水面漁場管理委員会を置かないことができる。

2 内水面漁場管理委員会は、都道府県知事の監督に属する。

3 内水面漁場管理委員会は、当該都道府県の区域内に存する内水面における水産動植物の採捕、養殖及び増殖に関する事項を処理する。

4 この法律の規定による海区漁業調整委員会の権限は、内水面における漁業に関しては、内水面漁場管理委員会が行う。ただし、第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない都道府県にあつては、当該都道府県の知事が指定する海区漁業調整委員会が行う。

 

漁業法施行令(昭和25年3月13日政令第30号)

第十八条(内水面漁場管理委員会を置かないことができる都道府県)

 法第百七十一条第一項ただし書の政令で定める都道府県は、沖縄県とする。

 

Q165. 内水面漁場管理委員会の構成について教えてください。

A. 内水面漁場管理委員会は、委員をもって組織され(法172条1項)、委員の定数は、原則として10人とされています(同条3項本文)。委員には、以下に掲げる者が選任されます(同条2項)。

・当該都道府県の区域内に存する内水面において漁業を営む者を代表すると認められる者

・当該内水面において水産動植物の採捕、養殖又は増殖をする者(漁業を営む者を除く。)を代表すると認められる者

・学識経験がある者の中から都道府県知事が選任した者

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第百七十二条(構成)

1 内水面漁場管理委員会は、委員をもつて組織する。

2 委員は、当該都道府県の区域内に存する内水面において漁業を営む者を代表すると認められる者、当該内水面において水産動植物の採捕、養殖又は増殖をする者(漁業を営む者を除く。)を代表すると認められる者及び学識経験がある者の中から都道府県知事が選任した者をもつて充てる。

3 前項の規定により選任される委員の定数は、十人とする。ただし、農林水産大臣は、必要があると認めるときは、特定の内水面漁場管理委員会について別段の定数を定めることができる。

 

Q166. 内水面漁場管理委員会における、会長の選出、その他の委員会の構成に関する事項、委員不適格事由、都道府県議会議員との兼職、委員の辞任・失職、委員の任期に関する事項、委員の罷免、委員会の会議に関する事項について教えてください。

A. 海区漁業調整委員会についての規定がそれぞれ準用されることになります(法173条)。

漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)

第百七十三条(準用規定)

 第百三十七条第二項から第六項まで、第百三十八条第四項、第百四十条から第百四十六条まで、第百五十七条、第百五十九条及び第百六十条の規定は、内水面漁場管理委員会に準用する。この場合において、第百四十四条第一項中「議会の同意を得て、これを」とあるのは「これを」と、第百五十九条第二項中「各都道府県の海区の数、海面において漁業を営む者の数及び海岸線の長さを基礎とし、海面」とあるのは「政令で定めるところにより算出される額を均等に交付するほか、各都道府県の内水面組合(水産業協同組合法第十八条第二項の内水面組合をいう。)の組合員の数及び河川の延長を基礎とし、内水面」と読み替えるものとする。

 

Q167.内水面漁業振興法とはどのような法律ですか?

A. 内水面漁業の振興に関する法律(内水面漁業振興法)とは、内水面漁業の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、内水面漁業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、内水面漁業の振興に関する施策を総合的に推進するために制定された法律です(同法1条)。

同法2条は、内水面漁業の振興に関する施策の基本理念として、①内水面漁業の有する水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮されること、及び②将来にわたって国民がその恵沢を享受することができるようにすることを柱として位置づけることを明らかにし、内水面漁業の振興に関する施策の方向付けを行っています。

ここでいう「水産物」とは、内水面において採捕され、又は養殖される水産動植物のことをいいます。具体的には、鮮魚介類や藻類、観賞用の錦鯉や金魚のほか、干物等の水産加工品が含まれると考えられています。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第一条(目的)

 この法律は、内水面漁業の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、内水面漁業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、内水面漁業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって内水面における漁業生産力を発展させ、あわせて国民生活の安定向上及び自然環境の保全に寄与することを目的とする。

第二条(基本理念)

 内水面漁業の振興に関する施策は、内水面漁業が水産物の供給の機能及び多面的機能を有しており、国民生活の安定向上及び自然環境の保全に重要な役割を果たしていることに鑑み、内水面漁業の有する水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮され、将来にわたって国民がその恵沢を享受することができるようにすることを旨として、講ぜられなければならない。

 

Q168.内水面漁業者は、どのような義務を負いますか?

A. 内水面は、海面と比べて面積が小さく、有用魚種の資源量も少ないこと等から、内水面漁業の健全な発展のためには、内水面漁業者による漁場環境の保全等の取組みの重要性が高いとされています。そこで、内水面漁業者は、内水面における水産資源の回復、内水面における漁場環境の保全等の取組みを自ら行うとともに、国又は地方公共団体が実施する内水面漁業の振興に関する施策に協力する努力義務を負うこととされています(内水面漁業振興法6条)。

なお、ここでいう「水産資源」とは、水中に産する生物資源のことをいい、漁業等に現に利用されているか否かを問わず、漁業等の対象となる水産動植物をいいます。この「水産動植物」とは、魚類、貝類、藻類等、水中に産出する動物及び植物の一切をいいます。

また、ここでいう「内水面漁業」とは、内水面における水産動植物の採捕又は養殖の事業をいいます(内水面漁業振興法3条1項)。「内水面」には、河川、湖沼、養殖池等、陸域に囲まれるすべての水面が含まれます。漁業法60条5項2号の海面に準ずる湖沼として農林水産大臣が定めて告示(※)する水面は、漁業法の適用上は海面として扱われますが、内水面漁業振興法においては内水面に含まれることになります。

https://search.kanpoo.jp/r/20200708g142p252-1c/

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第三条(定義)

1 この法律において「内水面漁業」とは、内水面における水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。

2(略)

3 この法律において「内水面漁業者」とは、内水面漁業を営む者をいう。

第六条(内水面漁業者の努力)

 内水面漁業者は、内水面における水産資源(以下「内水面水産資源」という。)の回復、内水面における漁場環境の保全等の取組を自ら行うとともに、国又は地方公共団体が実施する内水面漁業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

Q169.内水面漁業の振興に関する基本的な方針とは何ですか?

A. 内水面漁業振興法は、農林水産大臣が内水面漁業の振興に関する基本的な方針(基本方針)を定め、公表しなければならないことを規定している(同法9条1項、5項)ほか、基本方針の記載事項や制定・変更手続について定めています(同法同条2~4項、6項、7項)。基本方針は、概ね5年ごとに変更されます(同法同条6項)。

実際には、「内水面漁業の振興に関する基本的な方針」(平成29年7月25日農林水産省告示第1262号)が定められ、令和4年7月25日農林水産省告示第1167号(※)により当該方針の全部が変更されています。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第九条(基本方針)

1 農林水産大臣は、内水面漁業の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 内水面漁業の振興に関する基本的方向

 二 内水面水産資源の回復に関する基本的事項

 三 内水面における漁場環境の再生に関する基本的事項

 四 内水面漁業の健全な発展に関する基本的事項

 五 その他内水面漁業の振興に関する重要事項

3 基本方針は、水産基本法(平成十三年法律第八十九号)第十一条第一項の水産基本計画との調和が保たれたものでなければならない。

4 農林水産大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣及び環境大臣に協議し、それらの同意を得るとともに、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。

5 農林水産大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 農林水産大臣は、内水面漁業をめぐる情勢の変化を勘案し、及び内水面漁業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本方針を変更するものとする。

7 第四項及び第五項の規定は、基本方針の変更について準用する。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/attach/pdf/naisuimeninfo-25.pdf

 

Q170.内水面漁業振興法における都道府県計画とは何ですか?

A. 都道府県は、当該都道府県の区域にある内水面について、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する必要があると認めるときは、基本方針に即して、これらの施策の実施に関する計画を定める努力義務を負います(内水面漁業振興法10条1項)。そして、かかる計画を都道府県計画といいます。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第十条(都道府県計画)

1 都道府県は、当該都道府県の区域にある内水面について、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する必要があると認めるときは、基本方針に即して、これらの施策の実施に関する計画(以下この条において単に「計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

2~4(略)

 

Q171.内水面漁業の振興に関する施策にはどのようなものがありますか?

A. 内水面漁業振興法は、内水面漁業の振興に関する施策として、以下の施策を定めています。

①内水面水産資源の生息状況等の調査

②内水面水産資源の回復に関する施策

③内水面における漁場環境の再生に関する施策

④内水面漁業の健全な発展に関する施策

⑤指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出

以下では、それぞれの施策の内容について解説します。

 

Q172.「①内水面水産資源の生息状況等の調査」について教えてください。

A. 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生息の状況及び生息環境その他これらの施策の実施に関し必要な事項について調査を行う努力義務を負っています(内水面漁業振興法11条)。

実施には、資源の減少が危惧されているニホンウナギについてその資源量の維持又は回復を図るために必要な河川域及び海域における生息状況や生息環境の調査等の各調査が行われています。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第十一条

 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、内水面水産資源の生息の状況及び生息環境その他これらの施策の実施に関し必要な事項について調査を行うよう努めるものとする。

 

Q173.「②内水面水産資源の回復に関する施策」について教えてください。

A. 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の回復のため、以下に掲げるものに必要な措置を講ずるよう努めるものとされています。

・内水面水産資源の増殖及び養殖の推進等(内水面漁業振興法12条)

・特定外来生物等による被害の防止措置に対する支援等(同法13条)
:特定外来生物のうち、内水面水産資源に対する被害を与えるものとしては、オオクチバス、コクチバス、ブルーギルが代表的です。

・内水面水産資源に係る伝染性疾病の予防等(同法14条)

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第十二条(内水面水産資源の増殖及び養殖の推進等)

1 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の増殖及び養殖の推進を図るため、自然環境との調和に配慮しつつ、内水面水産資源の種苗の生産及び放流の推進、増殖及び養殖に関する技術の研究開発の推進並びにその成果の普及その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、水害等による内水面水産資源に係る被害が甚大である場合において特に必要があると認めるときは、内水面水産資源を緊急に回復するための種苗の放流の実施等に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十三条(特定外来生物等による被害の防止措置に対する支援等)

 国及び地方公共団体は、オオクチバス等の特定外来生物(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)第二条第一項に規定する特定外来生物をいう。)及びカワウ等の鳥獣(鳥類又は哺乳類に属する野生生物をいう。)(以下この条において「特定外来生物等」と総称する。)による内水面水産資源に対する被害を防止するため、当該被害を防止するための措置の実施に対する支援、特定外来生物等の効果的な駆除のための技術開発、特定外来生物等の広域的な個体数を管理する手法の開発その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十四条(内水面水産資源に係る伝染性疾病の予防等)

 国及び地方公共団体は、内水面水産資源に係る伝染性疾病の予防及びまん延の防止を図るため、必要な情報の提供、内水面水産資源に係る移動の制限その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年6月2日法律第78号)

第二条(定義等)

1 この法律において「特定外来生物」とは、海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物(その生物が交雑することにより生じた生物を含む。以下「外来生物」という。)であって、我が国にその本来の生息地又は生育地を有する生物(以下「在来生物」という。)とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるものとして政令で定めるものの個体(卵、種子その他政令で定めるものを含み、生きているものに限る。)及びその器官(飼養等に係る規制等のこの法律に基づく生態系等に係る被害を防止するための措置を講ずる必要があるものであって、政令で定めるもの(生きているものに限る。)に限る。)をいう。

2~4(略)

 

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令(平成17年4月27日政令第169号)

第一条(政令で定める外来生物)

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(以下「法」という。)第二条第一項の政令で定める外来生物は、次に掲げる生物とする。

 一 別表第一の種名の欄に掲げる種(亜種又は変種を含む。以下同じ。)に属する生物

 二(略)

別表第一 外来生物の種(第一条関係)

第一 動物界

 五 条鰭亜綱

  ヘ すずき目

   (1) サンフィッシュ科

1 Lepomis macrochirus(ブルーギル)

2 Micropterus dolomieu(コクチバス)

3 Micropterus salmoides(オオクチバス)

 

Q174.「③内水面における漁場環境の再生に関する施策」について教えてください。

A. 国及び地方公共団体は、内水面における漁場環境の再生のため、以下に掲げるものに必要な措置を講ずるよう努めるものとされています。

・内水面に係る水質の確保(内水面漁業振興法15条)

・内水面に係る水量の確保(同法16条)

・森林の整備及び保全(同法17条)

・内水面水産資源の生育に資する施設の整備(同法18条)

・自然との共生及び環境との調和に配慮した河川整備の推進(同法19条)

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第十五条(内水面に係る水質の確保)

 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育に資する水質の確保を図るため、下水道、浄化槽その他の排水処理施設の整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十六条(内水面に係る水量の確保)

 国及び地方公共団体は、内水面における豊かな水量が内水面水産資源の保全及び栄養塩類の海への円滑な流入による海洋水産資源の保全に資することに鑑み、内水面における水量の確保を図るため、雨水を地下に浸透させる機能を有する施設の普及その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十七条(森林の整備及び保全)

 国及び地方公共団体は、森林の有する水源の涵養の機能の発揮により良質な水の安定供給を確保する観点から、内水面水産資源の生育環境の保全及び改善に資するよう、森林の整備及び保全に努めるものとする。

第十八条(内水面水産資源の生育に資する施設の整備)

 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育に資するため、魚道の整備及びその適切な維持管理、産卵場の造成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十九条(自然との共生及び環境との調和に配慮した河川整備の推進)

 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育環境の改善その他内水面に係る生態系の保全に資するよう、自然との共生及び環境との調和に配慮した河川の整備を推進するよう努めるものとする

 

Q175.「④内水面漁業の健全な発展に関する施策」について教えてください。

A. 国及び地方公共団体は、内水面漁業の健全な発展のため、以下に掲げるものに必要な措置を講ずるよう努めるものとされています。

・効率的かつ安定的な内水面漁業の経営の育成(内水面漁業振興法20条)

・多面的機能の発揮に資する取組への支援等(同法21条)
:「多面的機能」とは、生態系その他の自然環境の保全、集落等の地域社会の維持、文化の伝承、自然体験活動等の学習の場並びに交流及び保養の場の提供等内水面漁業の生産活動が行われることにより生ずる水産物の供給の機能以外の多面にわたる機能をいいます(同法3条2項)。

・人材の育成及び確保(同法22条)

・商品開発の取組等への支援(同法23条)

・回遊魚類の増殖の取組への支援等(同法24条)
:回遊魚類とは、内水面と海面との間を往来する水産動植物をいい、具体的には、アユ、サケ・マス、ウナギ、シシャモ等がこれに該当します。

・国民の理解と関心の増進(同法25条)

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第三条(定義)

1(略)

2 この法律において「多面的機能」とは、生態系その他の自然環境の保全、集落等の地域社会の維持、文化の伝承、自然体験活動等の学習の場並びに交流及び保養の場の提供等内水面漁業の生産活動が行われることにより生ずる水産物の供給の機能以外の多面にわたる機能をいう。

3(略)

第二十条(効率的かつ安定的な内水面漁業の経営の育成)

 国及び地方公共団体は、効率的かつ安定的な内水面漁業の経営を育成するため、内水面に係る漁業協同組合に対し、技術及び経営についての助言及び指導その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十一条(多面的機能の発揮に資する取組への支援等)

 国及び地方公共団体は、内水面漁業の有する多面的機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるよう、内水面漁業者が行う多面的機能の発揮に資する取組に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十二条(人材の育成及び確保)

 国及び地方公共団体は、効率的かつ安定的な内水面漁業の経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、内水面漁業者の漁業の技術及び経済管理能力の向上、新たに内水面漁業に就業しようとする者に対する就業に関する相談等の援助並びに内水面漁業の技術及び経営方法の習得の促進その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十三条(商品開発の取組等への支援)

 国及び地方公共団体は、国民の需要に即した内水面水産資源の生産並びに加工及び流通が行われるよう、内水面水産資源の食材としての品質の向上の取組、内水面水産資源に係る商品の開発及び需要の開拓の取組等に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十四条(回遊魚類の増殖の取組への支援等)

 国及び地方公共団体は、回遊魚類(内水面と海面との間を往来する水産動物をいう。以下この条において同じ。)の持続的な利用の確保を図るため、回遊魚類の増殖の取組に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十五条(国民の理解と関心の増進)

 国及び地方公共団体は、内水面漁業に対する国民の理解と関心を深めるよう、内水面漁業の意義に関する広報活動、川辺における自然体験活動に対する支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるとともに、内水面水産資源の適切な管理に資するため、遊漁規則(漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百七十条第一項の遊漁規則をいう。)等の遵守に関する啓発活動その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

Q176.「⑤指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出」のうち、「指定養殖業の許可」について教えてください。

A. 指定養殖業を営もうとする者は、養殖場ごとに農林水産大臣の許可を受けなければなりません(内水面漁業振興法26条1項)。許可の申請手続等については、同法施行規則2条において定められています。指定養殖業の許可制度については、漁業法の規定を読み替えて準用しています(同法30条)。

「指定養殖業」とは、漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる養殖業であって政令で定めるものをいいます。現在、指定養殖業としては、うなぎ養殖業が指定されています(同法施行令1条)。

同法26条1項の規定に違反して指定養殖業を営んだ者は、3年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金又はこれらの併科に処されます(同法36条1項1号、2項)。

なお、指定養殖業の許可を受けた者が1年以上にわたって休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ農林水産大臣に届け出なければなりません(同法27条、同法施行規則4条)。同法27条に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者は。10万円以下の罰金に処されます(同法38条)。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第二十六条(指定養殖業の許可)

1 漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる養殖業であって政令で定めるもの(以下「指定養殖業」という。)を営もうとする者は、養殖場ごとに、農林水産大臣の許可を受けなければならない。

2~6(略)

第二十七条(休業の届出)

 指定養殖業の許可を受けた者(以下「許可養殖業者」という。)が農林水産省令で定める期間以上にわたって休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ農林水産大臣に届け出なければならない。

第三十条(漁業法の準用)

 指定養殖業の許可に関しては、漁業法第三章第一節(第三十六条から第三十九条まで、第四十三条、第四十五条第一号、第五十条及び第五十二条を除く。)並びに第百七十五条並びに第百七十七条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第二項、第三項前段及び第四項から第十項までの規定を準用する。(以下略)

第三十六条

1 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

 一 第二十六条第一項の規定に違反して指定養殖業を営んだ者

 二~四(略)

2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

3(略)

第三十八条

 第二十七条又は第二十八条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の罰金に処する。

 

内水面漁業の振興に関する法律施行令(平成26年10月1日政令第324号)

第一条(指定養殖業の指定)

 内水面漁業の振興に関する法律(以下「法」という。)第二十六条第一項の政令で定める養殖業は、うなぎ養殖業とする。

 

内水面漁業の振興に関する法律施行規則(平成26年7月8日農林水産省令第43号)

第二条(許可の申請)

1 指定養殖業について法第二十六条第一項の許可(第十一条及び第十七条を除き、以下「許可」という。)を受けようとする者は、養殖場ごとに、次に掲げる事項を記載した申請書を農林水産大臣に提出しなければならない。

 一 申請者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 二 申請に係る指定養殖業の種類

 三 使用する養殖場の名称、その所在地及びその面積

 四 養殖することを希望する水産動植物の種類及びその量

2、3(略)

第四条(休業の届出を要する期間)

 法第二十七条の農林水産省令で定める期間は、一年とする。

 

Q177.「⑤指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出」のうち、「届出養殖業の届出」について教えてください。

A. 漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる指定養殖業以外の養殖業であって政令で定めるもの(届出養殖業)を営もうとする者は、養殖場ごとに、その養殖業を開始する日の一月前までに、所定の事項を農林水産大臣に届け出なければなりません(内水面漁業振興法28条1項)。届出の申請手続等については、同法施行規則18条~20条において定められています。

届出養殖業としては、陸地において営む養殖業であって、かつ、以下の①及び②のいずれにも該当するものが指定されます(同法施行令2条)。

①食用の水産動植物(うなぎを除く。)を養殖するものであること。

②次のいずれかに該当するものであること。
・水質に変更を加えた水又は海水を養殖の用に供するもの。
・養殖の用に供した水を餌料の投与等によって生じた物質を除去することなく養殖場から排出するもの。

同法28条の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者は。10万円以下の罰金に処されます(同法38条)。

なお、届出養殖業の指定については令和5年政令第20号により改正(追加)されています。ご注意ください。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第二十八条(届出養殖業の届出)

1 漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる指定養殖業以外の養殖業であって政令で定めるもの(以下「届出養殖業」という。)を営もうとする者は、養殖場ごとに、その養殖業を開始する日の一月前までに、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。

 一 名称又は氏名及び住所

 二 法人にあっては、その代表者の氏名及び住所

 三 養殖場の名称及び所在地

 四 その他農林水産省令で定める事項

2~5(略)

 

内水面漁業の振興に関する法律施行令(平成26年10月1日政令第324号)

第二条(届出養殖業の指定)

 法第二十八条第一項の政令で定める養殖業は、陸地において営む養殖業であって、次の各号のいずれにも該当するものとする。

 一 食用の水産動植物(うなぎを除く。)を養殖するものであること。

 二 次のいずれかに該当するものであること。

  イ 水質に変更を加えた水又は海水を養殖の用に供するもの

  ロ 養殖の用に供した水を餌料の投与等によって生じた物質を除去することなく養殖場から排出するもの

 

Q178.「⑤指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出」について、許可養殖業者や届出養殖業者はどのような義務を負いますか?

A. 許可養殖業者及び届出養殖業者は、指定養殖業又は届出養殖業を行う養殖場ごとの当該養殖業に係る実績報告書を作成し、農林水産大臣に提出する義務を負います(内水面漁業振興法29条)。報告書の提出期限及び記載事項については、同法施行規則21条において定められています。

農林水産大臣は、許可養殖業者及び届出養殖業者が同法29条の規定に違反して実績報告書を提出せず、又は虚偽の事実を記載して報告するなどした場合において、必要があると認めるときは、許可養殖業者若しくは届出養殖業者に対し、指定養殖業若しくは届出養殖業に関して必要な報告を求め、又はその職員に養殖場、事業場若しくは事務所に立ち入り、その状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができると規定されています(同法31条1項)。

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第二十九条(実績報告書の提出)

1 許可養殖業者及び届出養殖業者は、農林水産省令で定めるところにより、指定養殖業又は届出養殖業を行う養殖場ごとの当該養殖業に係る実績報告書を作成し、農林水産大臣に提出しなければならない。

2 前項の実績報告書には、農林水産省令で定めるところにより、指定養殖業又は届出養殖業を行う養殖場ごとの当該養殖業に係る水産動植物の量その他養殖業の実態に関する事項を記載しなければならない。

第三十一条(報告徴収及び立入検査)

1 農林水産大臣は、指定養殖業の許可その他この節の規定又は当該規定に基づく命令に規定する事項を処理するために必要があると認めるときは、許可養殖業者若しくは届出養殖業者に対し、指定養殖業若しくは届出養殖業に関して必要な報告を求め、又はその職員に養殖場、事業場若しくは事務所に立ち入り、その状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2、3(略)

 

内水面漁業の振興に関する法律施行規則(平成26年7月8日農林水産省令第43号)

第二十一条(実績報告書の提出)

1 法第二十九条第一項の実績報告書は、次の各号に掲げる養殖業の区分に応じ、当該各号に定める日までに農林水産大臣に提出しなければならない。

 一 許可養殖業 当該報告に係る月の翌月の十日

 二 届出養殖業 当該報告に係る事業年度(四月一日から翌年の三月三十一日までをいう。)に属する最終月の翌月の三十日

2 法第二十九条第一項の実績報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 許可を受けた者又は届出をした者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 二 許可又は届出の番号

 三 養殖の用に供した種苗の種類別の量

 四 養殖の実績

 五 その他必要な事項

 

Q179.「協議会」とは何ですか?

A. 内水面において共同漁業の免許を受けた共同漁業権者は、当該免許に係る都道府県知事に対し、協議会の設置するよう申し出ることができます(内水面漁業振興法35条1項)。申出に必要な手続きについては、同法施行規則25条において定められています。

協議会は、河川管理者、学識経験者等により構成され(同法35条3項)、当該内水面における内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生その他内水面漁業の振興に関し必要な措置について協議を行います。

なお、令和5年12月現在、山形県、東京都、岐阜県、滋賀県、兵庫県、及び宮崎県の6都県において、同法35条に基づく協議会が設置されています。

内水面漁業振興法における協議会制度に関しては、Q&Aが存在します(※)。必要に応じてご参照ください。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/pdf/naisuimeninfo-8.pdf

内水面漁業の振興に関する法律(平成26年6月27日法律第103号)

第三十五条

1 内水面において漁業法第六十条第五項に規定する共同漁業の免許を受けた者(以下この条において「共同漁業権者」という。)は、農林水産省令で定めるところにより、当該免許に係る都道府県知事に対し、当該免許に係る内水面における内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生その他内水面漁業の振興に関し必要な措置について協議を行うための協議会(以下この条において単に「協議会」という。)を設置するよう申し出ることができる。

2 前項の申出に係る都道府県は、同項の協議が必要であると認めるときは、協議会を設置することができる。

3 協議会は、当該協議会を設置する都道府県、第一項の規定により当該協議会の設置を申し出た共同漁業権者、当該協議会における協議に係る内水面について河川管理者がある場合には当該河川管理者、当該協議会における協議に係る事項について学識経験を有する者その他当該都道府県が必要と認める者で構成するものとする。

 

内水面漁業の振興に関する法律施行規則(平成26年7月8日農林水産省令第43号)

第二十五条(協議会設置に係る申出)

 法第三十五条第一項の規定により申出をしようとする共同漁業権者は、次に掲げる事項を記載した申出書を都道府県知事に提出しなければならない。

 一 共同漁業権者の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地

 二 共同漁業権の免許番号

 三 共同漁業権に係る漁業の種類及び名称

 四 協議会の構成員に加えるべき者

 五 協議内容

 

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