漁業法QA⑦(都道府県漁業調整規則)
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XI 都道府県漁業調整規則について
都道府県漁業調整規則とは、都道府県知事が漁業法及び水産資源保護法の規定に基づき定める規則であり、農林水産大臣の認可を受けたもののことをいいます。
本項では、都道府県漁業調整規則について、同規則例の条項のうち、漁業法に規定されていないものなど、解説が特に必要と思われる点に絞って、都道府県漁業調整規則例(※)に基づき、QA形式にてご説明します。
※https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/attach/pdf/kisoku-3.pdf
Q200.都道府県漁業調整規則の概要について教えてください。
A. 漁業法の規定により、各都道府県の規則で「定められる」とされる部分については、都道府県ごとに、操業実態、漁業調整の実態等を踏まえ、必要に応じて規則を制定することになっています。
水産庁は、全国統一的に一定の水準を確保するため、都道府県漁業調整規則例を作成し、公表しました。同規則例においては、漁業法上に規定されている手続や規制の内容にかかる条項についても確認的に記載されています。
Q201.都道府県漁業調整規則例4条について教えてください。
A. 都道府県漁業調整規則例4条は、都道府県知事の許可を必要とする知事許可漁業のうち、漁業法57条1項により規則で定めることとされているものを例示して定めたものです。「知事の許可を受けなければならない」との文言は、法57条1項の規定を確認的に記載している部分であり、許可の根拠規定は法57条1項となると考えられています。
都道府県漁業調整規則例
第四条(知事による漁業の許可)
1 法第五十七条第一項農林水産省令で定める漁業のほか、次に掲げる漁業を営もうとする者は、同項の規定に基づき、知事の許可を受けなければならない。
一 もじゃこ漁業 海面においてもじゃこ(全長十五センチメートル以下のぶりをいう。をとることを目的とする漁業(中型まき網漁業を除く。)
二 うなぎ稚魚漁業 うなぎの稚魚(全長十三センチメートル以下のうなぎをいう。)をとることを目的とする漁業
三 しじみ漁業 内水面においてじょれんによりしじみをとることを目的とする漁業(小型機船底びき網漁業を除く。)
四~十七(略)
2(略)
漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)
第五十七条(都道府県知事による漁業の許可)
1 大臣許可漁業以外の漁業であつて農林水産省令又は規則で定めるものを営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2~9(略)
Q202. 都道府県漁業調整規則例15条について教えてください。
A. 都道府県漁業調整規則例15条は、漁業法58条において準用する同法46条の規定に基づき、知事許可漁業の許可の有効期間について定めています。これは、各知事許可漁業の実態に応じて、その許可の有効期間について定める必要があるからです。
都道府県漁業調整規則例
第十五条(許可の有効期間)
1 許可の有効期間は、次の各号に掲げる漁業の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期間とする。ただし、(以下略)
一 法第五十七条第一項の農林水産省令で定める漁業及び第四条第一項第〇号から第〇号までに掲げる漁業 五年
二 第四条第一項第〇号から第〇号までに掲げる漁業 三年
三 第四条第一項第二号に掲げる漁業 一年
2 知事は、漁業調整のため必要な限度において、関係海区漁業調整委員会の意見を聴いて、前項の期間より短い期間を定めることができる。
漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)
第四十六条(許可の有効期間)
1 許可の有効期間は、漁業の種類ごとに五年を超えない範囲内において農林水産省令で定める期間とする。ただし、前条(第一号を除く。)の規定によつて許可をした場合は、従前の許可の残存期間とする。
2 農林水産大臣は、漁業調整のため必要な限度において、水産政策審議会の意見を聴いて、前項の期間より短い期間を定めることができる。
第五十八条(知事許可漁業の許可への準用)
第三十七条から第四十条まで、第四十一条第一項(第六号を除く。)及び第二項、第四十二条(第二項ただし書及び第三項ただし書を除く。)、第四十三条、第四十四条、第四十五条(第二号及び第三号に係る部分に限る。)、第四十六条、第四十七条、第四十九条から第五十二条まで、第五十四条並びに第五十六条の規定は、前条第一項の農林水産省令又は規則で定める漁業(以下「知事許可漁業」という。)の許可について準用する。(以下略)
Q203.許可証について教えてください。
A. 都道府県漁業調整規則例24条から30条は、許可証に関する規定です。具体的には、同規則例24条が許可証の交付、同規則例25条が許可証の備付け等の義務、同規則例26条が許可証の譲渡等の禁止、同規則例27条が許可証の書換交付の申請、同規則例28条が許可証の再交付の申請、同規則例29条が許可証の書換交付及び再交付、同規則例30条が許可証の返納について定めています。
許可証は、知事が許可を行った場合において、当該者が許可を受けた者であることの確認を可能にし、取締りの実効性を担保するために交付されるものです。
Q204.水産資源の保護培養及び漁業調整に関する措置について教えてください。
A. 都道府県漁業調整規則例33条から50条は、漁業法119条1項もしくは2項の規定に基づき、漁業調整のため、水産動植物の採捕に関する制限又は禁止等に関して必要な命令を定めています。また、同様に、水産資源保護法4条1項の規定に基づき、水産資源の保護培養のため、水産動植物に有毒な水質の汚濁等に関する制限又は禁止等に関して必要な命令を定めています。
これらの規定については、違反した者に対する罰則を設けることができるとされています(漁業法119条3項、水産資源保護法4条2項)。
漁業法(昭和24年12月15日法律第267号)
第百十九条(漁業調整に関する命令)
1 農林水産大臣又は都道府県知事は、漁業調整のため、特定の種類の水産動植物であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものの採捕を目的として営む漁業若しくは特定の漁業の方法であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものにより営む漁業(水産動植物の採捕に係るものに限る。)を禁止し、又はこれらの漁業について、農林水産省令若しくは規則で定めるところにより、農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることができる。
2 農林水産大臣又は都道府県知事は、漁業調整のため、次に掲げる事項に関して必要な農林水産省令又は規則を定めることができる。
一 水産動植物の採捕又は処理に関する制限又は禁止(前項の規定により漁業を営むことを禁止すること及び農林水産大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることを除く。)
二 水産動植物若しくはその製品の販売又は所持に関する制限又は禁止
三 漁具又は漁船に関する制限又は禁止
四 漁業者の数又は資格に関する制限
3 前項の規定による農林水産省令又は規則には、必要な罰則を設けることができる。
4~8(略)
水産資源保護法(昭和26年12月17日法律第313号)
第四条(水産動植物に有害な物の遺棄の制限等に関する命令)
1 農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。
一 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止
二 水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止
三 水産動植物の移植に関する制限又は禁止
2 前項の規定による農林水産省令又は規則には、必要な罰則を設けることができる。
3~9(略)