Food法務 第6号(2020年12月) 同一労働同一賃金に関する最高裁判決~各種手当と休暇について~

同一労働同一賃金に関する最高裁判決~各種手当と休暇について~

はじめに

 先月に引き続き、2020年10月13日・15日に出された、同一労働・同一賃金に関する最高裁判決について、コラムをお送りします。
 まずは、それぞれの判決の概要を改めてご紹介します。

<10月13日>
▼大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件
「賞与」・「退職金」等に関する非正規雇用者と正社員との格差(非正規雇用者には支給しないこと)は不合理か
→ 支給しないことは不合理ではない(会社側勝訴)

<10月15日>
▼日本郵便事件(東京・大阪・佐賀の3つの地方裁判所で提起された訴訟それぞれの判決)
「扶養手当等」の手当、「病気休暇等」の休暇に関する非正規雇用者と正社員との格差(非正規雇用者には扶養手当等を支給せず、病気休暇等を認めないこと)は不合理か
→ 支給等しないことは不合理である(労働者側勝訴)

賞与・退職金について

 先月のコラムでお伝えしたとおり、「およそ、非正規雇用者に賞与・退職金を支給しなくてよい」という判決が出たわけでは、ありません。
 むしろ、判決には、非正規雇用者に退職金を支給しないことが不合理(支給する必要あり)と判断される可能性がある旨の見解まで示されており、十分な注意が必要です。
 具体的な内容は、先月のコラムをご確認いただければと思います。

各種手当・休暇について

 今月は、各種手当・休暇についてです。
 対象となったのは、扶養手当、年末年始勤務手当、年始期間の祝日給、夏期・冬期休暇、病気休暇の5つです。
 食品・飲食事業を営む皆様においても、これらの労働条件について、正社員と契約社員等の非正規雇用者との間で、差を設けていることが多いのではないでしょうか。
 しかし、日本郵便事件では、非正規雇用者と正社員との格差が「不合理」として、労働者側が勝訴しました。
 判断の概要は、以下のとおりです。

<扶養手当>
趣旨:長期にわたり継続して勤務することが期待される従業員に対して支給することで、その継続的な雇用を確保するためのもの
判断:相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、契約社員にも、その手当の趣旨が妥当する
結論:相応に継続的な勤務が見込まれる契約社員との関係では、正社員と比較して職務内容等に相応の差異があることを考慮しても、差を設けることは不合理である

<年末年始勤務手当>
趣旨:年末年始は郵便業務の最繁忙期であり、多くの労働者が休日として過ごしている期間であるところ、そのような期間に、業務内容等にかかわらず実際に勤務したことをもって、勤務時間に応じて一律に支払われる性質のもの
判断:年末年始に実際に勤務したのであれば、契約社員にも、その手当の趣旨が妥当する
結論:年末年始に実際に勤務した契約社員との関係では、正社員と比較して職務内容等に相応の差異があることを考慮しても、差を設けることは不合理である

<年始期間の祝日給>
趣旨:年始期間における勤務の代償として支給することで、最繁忙期における労働力を確保するためのもの
判断:年始に実際に勤務したのであれば、契約社員にも、その手当の趣旨が妥当する
結論:年始に実際に勤務した契約社員との関係では、正社員と比較して職務内容等に相応の差異があることを考慮しても、差を設けることは不合理である

<夏期・冬期休暇>
趣旨:長期にわたり継続して勤務することが期待される従業員に対して休暇を付与することで、その継続的な雇用を確保するためのもの
判断:相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、契約社員にも、その休暇の趣旨が妥当する
結論:相応に継続的な勤務が見込まれる契約社員との関係では、正社員と比較して職務内容等に相応の差異があることを考慮しても、差を設けることは不合理である

<病気休暇>
趣旨:長期にわたり継続して勤務することが期待される従業員に対して休暇を付与することで、その継続的な雇用を確保するため
判断:相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、契約社員にも、その休暇の趣旨が妥当する
結論:相応に継続的な勤務が見込まれる契約社員との関係では、正社員と比較して職務内容等に相応の差異があることを考慮しても、差を設けることは不合理である

最後に

 食品・飲食事業者の皆様としても、非正規雇用者と正社員に格差を設けるのであれば、その手当や労働条件の趣旨からして、不合理でないといえる状況を整える必要があります。

 特に、相応に継続的な勤務が見込まれる契約社員(例えば、更新を重ねて5年にわたり雇用を継続している契約社員等)が存在する場合には、注意が必要です。

 同一労働・同一賃金に関する紛争は今後増えていくことが予想されますので、今回の判決をきっかけに、会社の制度・運用について改めて確認・検討されることをお勧めいたします。

 何かご質問等がありましたら、お気軽にご連絡ください。

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