Food法務第12号(2021年7月) 弁護士以外の者による削除代行業について

1 はじめに

 商品やサービスを貶すような口コミ等が各種WEBサイトに投稿されてしまった場合、食品・飲食事業者の皆様にとって、その口コミ等による事業への悪影響は重大な懸念事項かと思います。削除代行業者に、口コミ等の削除を依頼しようか検討されている方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、このような削除代行業は、弁護士以外の者が行う場合には違法になりますので、注意が必要です。
 本コラムでは、削除代行業の違法性や注意点についてご紹介します。

2 削除代行業の違法性

 弁護士法72条は、以下のとおり、いわゆる非弁行為(弁護士でない者が、報酬を得る目的をもって、弁護士のみが行うことのできる行為をすること)を禁止しています。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条
 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 インターネット上の口コミ等の削除を代行する行為は、まさに「法律事件」に関する「法律事務」にあたるため、弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で業として行うことはできません。従いまして、削除代行業者とネット記事の削除等に関する契約を締結した場合、その契約は弁護士法72条違反を理由に無効となります。

3 裁判例の紹介

 削除代行業の適法性が争われた裁判例として、東京地判平成29年2月20日があります。この裁判例では削除代行業者との契約が弁護士法72条に違反して無効であることを理由に、支払い済みの報酬約50万円の返還請求が認められています。

結論 支払い済みの報酬約50万円の返還請求を認容
概要  原告は、被告に対してウェブサイト上の記事を削除する業務を依頼していた。原告が削除を依頼した記事の一部は、ウェブサイト上から削除された。 原告は、この削除依頼に関する契約が弁護士法72条に違反する旨を主張し、被告に対し、契約に基づいて支払った報酬約50万円等の返還を求めた。  裁判所は、被告の行った削除代行業務が弁護士法72条に違反することを認定し、支払い済みの報酬約50万円の返還請求を認容した。

4 弁護士と提携した削除代行業者

 上記東京地裁平成29年2月20日判決を受けて、弁護士と提携していることを売りにする削除代行業者が増えているようです。しかしながら、弁護士法72条に違反する業者と弁護士が提携することも、非弁提携として違法です(弁護士法27条)。従いまして、弁護士と提携していることをアピールしていたとしても、やはり削除代行業者に対して依頼することは避けるべきでしょう。

5 削除代行業者からの返金

 上記の通り、削除代行業者に対して口コミ等の削除を依頼する契約は、弁護士法72条に違反し、無効となります。そのため、削除代行業者に依頼して、既にお金を払ってしまった場合でも、支払ったお金を取り戻すことができる可能性があります。

6 まとめ

 本コラムでご紹介したとおり、弁護士でない者による削除代行業は、弁護士法に反して違法です。これらが非弁行為や非弁提携として禁止されているのは、弁護士以外の者が法律事件を主導的に処理することにより、依頼者である皆様の適正な権利の実現が十分に果たされないおそれがあるためです。インターネット上の口コミ等の削除を依頼したい場合には、弁護士に依頼する必要がありますので、ご注意ください。

 何かご質問等がありましたら、お気軽にご連絡ください。

 

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