Food法務 第8号(2021年2月)新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法(改正特措法)の施行について

はじめに

 本年2月26日、全国で初めて、東京都と神奈川県で午後8時以降の営業を行っている飲食店に対し、時短営業を求める旨の要請文書が送付されたことが報道されました。
 その数は、東京都内で34店舗、神奈川県内で42店舗です。

 これは、本年2月13日に施行された、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法(以下「改正特措法」といいます)に基づく「要請」です。
 本コラムでは、改正特措法について、飲食事業と関わりの深い事項を中心に、その概要をご説明します。

改正特措法の概要

(1)緊急事態宣言下での命令及び違反に対する過料

 改正特措法が施行されるまでは、都道府県知事は、緊急事態宣言が出されていても、事業者に対して営業時間短縮等の「要請」をすることができるだけでした
 これに対し、改正特措法では、以下の措置をとることができるようになりました。

・正当な理由なく「要請」に従わない事業者に対する「命令」
・「命令」がされたことの「公表」
・「命令」に従わない事業者に対する30万円以下の「過料」
・「命令」にあたって必要な範囲での「立入検査」等
・立入検査等を拒否した事業者等に対する20万円以下の「過料」

 このように、改正特措法では、時短要請等に違反した事業者に対し、強いペナルティを科すことができるようになっています。
 なお、上記の「過料」とは、あくまで行政罰であり、刑事罰である「罰金」とは異なります。刑事罰である罰金とは、裁判を通じて有罪判決が出されることにより科されるものであり、これを科されると前科となります。
 これに対して、行政罰である過料は行政上の規制違反に対する制裁であり、前科にはなりません。
 報道によると、神奈川県の黒岩知事は、ペナルティについても「法に基づき粛々と進める」旨のコメントをしたとのことですので、十分な注意が必要といえます。

(2)まん延防止等重点措置制度

 改正特措法では、緊急事態宣言下の措置のほかに、新たに「まん延防止等重点措置」という制度が創設されました。
 政府は、緊急事態宣言を出すほどではない状況においても、期間と区域を示して、「まん延防止等重点措置」を公示することができるようになりました。
 この「まん延防止等重点措置」が公示された場合、都道府県知事は以下の措置をとることができます。

・事業者に対する営業時間短縮等の「要請」
・正当な理由なく「要請」に従わない事業者に対する「命令」
・「命令」がされたことの「公表」
・「命令」に従わない事業者に対する20万円以下の「過料」
・「命令」にあたって必要な範囲での「立入検査」等
・立入検査等を拒否した事業者等に対する20万円以下の「過料」

 緊急事態宣言との比較では、主に以下の相違点があります。

(地域)
・緊急事態宣言:都道府県単位
・まん延防止等重点措置:市町村単位となることを想定(政府が対象とした都道府県知事が市町村など特定の地域を限定できる)
(適用目安)
・緊急事態宣言:感染状況がステージ4(感染爆発段階)相当
・まん延防止等重点措置:感染状況がステージ3(感染急増段階)相当。局地的・急速に広がっている場合にはステージ2(感染漸増段階)でも適用可能性あり。
(過料)
・緊急事態宣言:命令違反の場合に30万円以下の過料
・まん延防止等重点措置:命令違反の場合に20万円以下の過料

まとめ

 以上のように、改正特措法では、主に事業者へのペナルティを強化する方向での改正がされています。
 これに対して、事業者への支援については、以下のような条文を規定するにとどまっています。

第63条の2(第1項)
 国及び地方公共団体は、新型インフルエンザ等及び新型インフルエンザ等のまん延の防止に関する措置が事業者の経営及び国民生活に及ぼす影響を緩和し、国民生活及び国民経済の安定を図るため、当該影響を受けた事業者を支援するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を効果的に講ずるものとする。

 政府に対しては、当該条文に基づき、事業者に対する経済支援策を緊急に実施していくことが、強く求められます。

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