食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について~改正食品衛生法④~
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はじめに
食を巡る環境の変化等に応じて食品の安全を確保すべく、食品衛生法が平成30年に大きく改正され、令和3年6月に完全施行されました。そのため、食品等事業者の皆様は、改正法に対応した体制を整えることが求められます。
そこで、本ページでは、ポジティブリスト制度(食品衛生法18条3項)を中心に、ポジティブリスト制度を有効に機能させるための製造管理(食品衛生法52条)や情報伝達(食品衛生法53条)も併せて解説していきます。
施行期日は、公布日(平成30年6月13日)から2年以内(食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)附則1条柱書本文)とされ、政令(令和元年政令121号)により、令和2年6月1日と定められました。経過措置については、後述します(2、(2)「イ 経過措置」参照)。
ポジティブリスト制度について
ポジティブリスト制度とは、食品用器具・容器包装を用いるために使用される原材料の使用を原則として全て禁止した上で、使用を認めるものだけをリスト化するというものです。改正前は、原則として全ての使用を認めつつ、使用を認めないものだけをリスト化したネガティブリスト制度が採用されており、これに加えて業界団体が自主基準としてポジティブリストを定めることにより安全性を確保していました。しかし、食品用器具等については、米国や欧州など多くの国が、ポジティブリスト制度を採用しており、我が国でも国際標準に合わせるべく、ポジティブリスト制度を導入するに至りました。
(1) 改正前の制度概観
改正に至るまで、日本では、食品用器具・容器包装に対する規制として、上述のとおり、法規制と業界団体による自主規制を併用し、それらの安全性を確保してきました。法規制としては、食品衛生法16条の有毒有害物質規制及び18条1項に基づく規格又は基準(昭和34年厚生労働省告示第370号)が存在しました。また、業界団体は、添加物等を定めたポジティブリストと衛生試験法による自主基準を制定し、自主基準の適合性を証明する確認証明制度による規制も行っていました。日本においては、このような法規制と自主規制が有効に機能していたことで、合成樹脂における食品衛生上の大きな問題は生じていませんでした。
しかし、一方では、以下のような問題点が指摘されていました。
・食品衛生法16条、18条1項に基づく規制では、新規に開発された物質について、それが有毒有害物質に該当し規制の対象となるか否か、既に制定されている規格又は基準を満たすか否かを早急に判断し、対応することが困難である。
・業界団体による自主規制は会員企業に対してしか拘束力を有しないため、非会員企業が当該自主規制に従うかは任意であり、規制が及ばないおそれがある。
・確認証明制度(会員企業からの申請に基づき、原材料から製品までの段階ごとに、自主規制に適合していることを証明する制度)を非会員企業は利用できない。
・海外企業であっても、自主規制を設けている業界団体の会員であればその拘束力が及ぶが、近年の輸入増加に伴い、自主規制に適合しない非会員である海外企業の製品が多数流通している。
・米国、欧州、中国等の諸外国がポジティブリスト制度を採用し、アジア諸国もポジティブリスト制度を導入し、又は導入を検討していたため、日本でも規制の国際整合化を勘案しつつ、規制を見直す必要があった。
そこで、このような問題点を踏まえ、食品衛生法の改正に伴い、ポジティブリスト制度が導入されることになりました。また、業界団体が行っていた確認証明制度等を参考に、製品の適合性を証明し、必要な情報を提供する情報伝達制度(食品衛生法53条)も規定されることになりました。
以下、これらの改正内容について紹介していきます。なお、ポジティブリスト制度は、改正前の制度に規制を上乗せするものであり、改正前の制度は今後も遵守しなければなりません。
(2) 改正後の制度内容
ア 対象・基準
まず、厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて(食品安全基本法24条1項1号)、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができます(食品衛生法18条1項)。これら規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはなりません(同2項)。
そして、器具又は容器包装には、「合成樹脂」(食品衛生法施行令1条)の原材料であって、これに含まれる物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を除く)について、当該原材料を使用して製造される器具若しくは容器包装に含有されることが許容される量又は当該原材料を使用して製造される器具若しくは容器包装から溶出し、若しくは浸出して食品に混和することが許容される量が、食品衛生法18条1項に基づいて厚生労働大臣が定めた規格に定められていないものは、使用してはいけません(食品衛生法18条3項本文)。ただし、当該物質が、人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて(食品安全基本法24条1項1号)定める量を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和するおそれがないように器具又は容器包装が加工されている場合(当該物質が器具又は容器包装の食品に接触する部分に使用される場合を除く)には、当該物質の使用が例外的に許容されます(食品衛生法18条3項但書)。
なお、「合成樹脂」には、熱可塑性を持たない弾性体であるゴムは含みません(※1の別添第1、3イⅱ参照)。そして、合成樹脂製の器具又は容器包装及び他の材質の器具又は容器包装であって食品接触面に合成樹脂の層が形成されている場合の「合成樹脂」が対象になります(※1の別添第1、3イⅲ参照)。
合成樹脂の原材料であってこれに含まれる物質に関する規格については、厚生労働省によって制定された「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)の「第3 器具及び容器包装」の部「A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格」の項に定められ、個別の物質の規格については別表1に規定されました(規格基準の改正部分の新旧対照について※2-1、別表1について※2-2)。
食品衛生法18条3項但書の「人の健康を損なうおそれのない量」については、食品中濃度として0.01mg/kgと定められました(※3)。
※1「食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政省令の制定について」(令和元年11月7日付け生食発1107第1号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T191111I0010.pdf
※2-1「食品、添加物等の規格基準」の改正部分の新旧対照表
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000625489.pdf
※2-2「食品、添加物等の規格基準」の別表第1
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000625490.pdf
※3「食品衛生法第十八条第三項ただし書の規定により人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める量」(令和2年厚生労働省告示第195号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000625501.pdf
イ 経過措置
経過措置として、①施行の際現に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業(食品衛生法4条7項)上使用されているものについてはポジティブリスト制度の対象とはならず(食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)附則4条)、②施行の日前に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具・容器包装と「同様のもの」が同日から起算して5年を経過する日(令和7年5月 31 日)までの間(令和2年6月1日から令和7年5月31日)に販売の用に供するために製造され、若しくは輸入される場合、それに使用される原材料であって合成樹脂のものについては、ポジティブリスト適合とみなされます(※1)。
なお、②既存の器具・容器包装と「同様のもの」とは、施行日より前に製造等された器具・容器包装に使用されていた物質(合成樹脂の原材料に限る)を、使用されていた範囲内で使用して製造又は輸入された器具・容器包装をいいます。そのため、これまで使用経験が無い物質を使用した場合や、増量した添加物を使用して製造した場合、又は製造記録等によりこれまで使用されていた範囲内であることが説明できない場合等には、ポジティブリスト制度適合とはみなされないため、注意が必要です(※2の「第3 適用期日」参照)。
※1「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第196号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000625486.pdf
※2「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第18条第3項の施行に伴う関係告示の整備について」(令和2年5月1日付け生食発0501第6号、最終改正:令和3年8月5日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000878321.pdf
(3) 適正製造管理規範(GMP)による製造管理の制度化について
食品衛生法52条の規定により、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置についての基準が定められ、器具又は容器包装を製造する営業者は、下記の一般衛生管理及び製造管理の基準を遵守する必要があります。
なお、ポジティブリスト制度の対象となる物質を使用しない事業者は一般衛生管理の基準のみを遵守する必要があります。
以下では、適正製造管理規範(GMP)について解説していきます。
(1)GMPの概要
適正製造管理規範(GMP:Good Manufacturing Practice)とは、製造工程全般にわたり適切な管理組織の構築、施設設備の衛生管理、原材料の管理、異物混入防止等を実施することで、品質・安全性の確保を図るための規範や基準をいいます。GMPは、1960年代にアメリカにおいて初めて導入され、日本では、医薬品についてGMP省令(※1)が存在しましたが、食品に関して法律に基づいたGMPはありませんでした。
そこで、平成30年の食品衛生法の改正に伴い、食品用器具・容器包装についてGMPが導入され、公衆衛生上必要な措置に関する具体的な基準については、以下のとおり、食品衛生法施行規則66条の5各項によって定められることになりました(食品衛生法52条1項各号)。
なお、この基準は「食品用器具及び容器包装の製造等における安全性確保に関する指針(ガイドライン)」(※2)に沿って定められました。厚生労働省のホームページには、この指針を踏まえて事業者団体が作成した手引書が参考として掲載されています(※3の「(参考情報)業界団体が作成した手引書について」参照)。
※1「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年12月24日厚生労働省令第179号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81aa6647&dataType=0&pageNo=1
※2「食品用器具及び容器包装の製造等における安全性確保に関する指針(ガイドライン)」(平成29年7月10日付け生食発0710第14号)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000174481.pdf
※3 厚生労働省ホームページ「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05148.html
(2)製造管理基準
① 施設の内外の清潔保持その他一般的な衛生管理に関する基準(食品衛生法52条1項1号)
器具又は容器包装の製造を行う全ての営業者に適用される一般衛生管理基準です。ポジティブリスト制度の対象となる物質を使用しない営業者も遵守する必要があります(食品衛生法52条2項括弧書)。具体的な内容は以下のとおりです。
・器具又は容器包装が適切に製造されるよう、必要な人員を配置し、作業内容を設定し、及び施設設備等を維持すること(食品衛生法施行規則66条の5第1項1号)
・器具又は容器包装の製造に従事する人員(以下「作業従事者」といいます)の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行うとともに、作業従事者に作業手順及び衛生管理に必要な事項を理解させ、それらに従い作業を実施させること(同2号)
・施設又は作業区域は、器具又は容器包装の使用方法等を踏まえ、必要に応じて粉じんや埃等の混入による汚染が防止できる構造とし、清潔な状態を維持すること(同3号)
・清潔な作業環境を維持するため、施設の清掃及び保守点検並びに廃棄物の処理を適切に実施すること(同4号)
・器具又は容器包装の製造の管理をする者及び作業従事者の教育訓練を実施し、食品衛生上の危害の発生の防止に必要な情報及び取組を関係者間において共有すること(同5号)
・作業手順を作成し、衛生管理に必要な事項を定め、及びそれらの取組内容の結果を記録するとともに、必要に応じて速やかに確認できるよう保存すること(同6号)
・器具又は容器包装の原材料の購入、使用及び廃棄並びに器具又は容器包装の製造、貯蔵、出荷及び廃棄に係る記録を作成し、当該器具が使用される期間又は当該容器包装に入れられ、若しくは包まれた食品若しくは添加物が消費されるまでの期間を踏まえて保存すること(同7号)
② 食品衛生上の危害発生防止のために必要な、適正に製造の管理を行うための取組に関する基準(食品衛生法52条1項2号)
「政令で定める材質」(食品衛生法18条3項本文)を用いる営業者、つまりポジティブリスト対象材質(合成樹脂)を原材料とする器具又は容器包装を製造する営業者にのみ適用される基準になります(食品衛生法52条2項)。具体的な内容は以下のとおりです。
・合成樹脂の原材料は、食品衛生法18条3項の規定に適合するものを使用すること(食品衛生法施行規則66条の5第2項1号)
・器具又は容器包装の製品設計にあっては、設計された製品が食品衛生法18条3項の規定に適合すること及びその製造工程が食品衛生法18条1項の規格又は基準に適合していることを確認すること(同2号)
・必要に応じて食品衛生上の危害の発生又は危害が発生するおそれを予防するための措置を分析し、管理が必要な要因を特定すること(同3号)
・3号の管理が必要な要因については、食品衛生上の危害の発生を防止するために必要な製造及び管理の水準(以下「管理水準」といいます)及び管理方法を定め、適切に管理すること(同4号)
・合成樹脂の原材料及び器具又は容器包装が適切な管理水準を満たすことを確認すること(同5号)
・適切な管理水準を満たさない合成樹脂の原材料又は器具若しくは容器包装、回収した器具又は容器包装その他食品衛生上の危害が発生するおそれのある器具又は容器包装については、その対応方法を予め定めておくこと(同6号)
・適切な管理水準を満たさない合成樹脂の原材料又は器具若しくは容器包装、回収した器具又は容器包装その他食品衛生上の危害が発生するおそれのある器具又は容器包装については、6号の規定により定められた方法に従い対応すること(同7号)
・製造に使用した合成樹脂の原材料及び製造した器具又は容器包装の一部を必要に応じて保存すること(同8号)
なお、「公衆衛生上必要な措置」について、都道府県知事等は、食品衛生法施行規則66条の5各項で定められた上記①及び②の基準に反しない限り、地方の実情に応じて条例で規制を付加することができますので(食品衛生法52条3項)、営業地域の法令にも留意する必要があります。
ポジティブリスト適合性を確認するための情報伝達制度について
器具・容器包装については、消費者が実際に使用するに至るまでの間に、複数の事業者が関与することが一般的です。そのため、製造者から食品販売業者などへ、ポジティブリスト制度に適合していることを確認できる情報を提供させることが必要です。そこで、このような情報伝達に関する制度が用意されています(食品衛生法53条)。
(1)情報伝達の内容
合成樹脂の原材料が使用された器具又は容器包装を販売、製造、輸入する者は、その取り扱う器具又は容器包装の販売の相手方に対し、当該取り扱う器具又は容器包装について、以下のいずれかに該当する旨を説明しなければなりません(食品衛生法53条1項柱書)。
・合成樹脂の原材料について、食品衛生法18条1項の規定により定められた規格に適合しているもののみを使用した器具又は容器包装であること(同項1号)
・食品衛生法18条3項但書に規定する加工がされている器具又は容器包装であること(同項2号)
(2)情報伝達の方法
食品衛生法53条1項柱書によって説明義務が課された情報を、器具又は容器包装 の販売の相手方に対して説明するにあたっては、以下に掲げる方法によることを要します(食品衛生法施行規則66条の6第1項各号)。
・説明の対象となる器具又は容器包装を特定し、それが食品衛生法53条1項1号又は2号のいずれかに該当することが確認できる情報を伝達すること(同1号)
・1号に規定する情報の伝達を実施するための体制を整え、当該情報に変更があつた場合は、その旨を速やかに伝達すること(同2号)
情報伝達方法としては、例えば契約締結時における仕様書等、営業者の下で記録・保存される書面に併せて記載することなどが考えられます。ただし、事後的に確認できるものが望ましいので、口頭による説明は避けるべきでしょう
なお、食品衛生法53条は、事業者間での情報提供の円滑化を目的としたものであり、消費者に対する情報提供は求められていません。また、器具又は容器包装の原材料としての合成樹脂を販売、製造、輸入する原材料製造事業者の容器等製造事業者への説明は、器具・容器包装製造業者からポジティブリスト適合性についての確認を求められた場合に必要な説明をしなければならない旨の努力義務となっています(食品衛生法53条2項、食品衛生法施行規則66条の6第2項)。
罰則その他
上記2(2)の食品衛生法18条2項若しくは3項の規定に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される(食品衛生法83条1号)とともに、器具・容器包装の廃棄命令等(食品衛生法59条1項)、営業禁止等(食品衛生法60条)も予定されています。また、上記3の食品衛生法52条2項若しくは上記4の53条1項の規定に違反した場合にも、営業禁止等が予定されています。
そのため、違反することがないように十分注意する必要があります。
まとめ
食品用器具・容器包装ポジティブリスト制度等について紹介してきました。これにより、食品用器具又は容器法の安全性が確保されるとともに、食品衛生に関する規制の国際標準化が図られることが期待されます。
ご不明な点がある場合には、最寄りの保健所や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
- えん下困難者用食品について
- 特別用途食品について
- 経口補水液について
- 遺伝子組換え食品の表示制度について
- 食品添加物をめぐる規制
- 食品衛生法の改正について
- 食品表示基準の弾力的運用 — 令和6年能登半島地震を受けて
- 食品表示法に基づく食品表示制度
- 広域的な食中毒事案への対策強化について~改正食品衛生法①~
- HACCPに沿った衛生管理の制度化~改正食品衛生法②~
- 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の届出制度等について~改正食品衛生法③~
- 営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設について~改正食品衛生法⑤~
- 食品等の自主回収報告制度について~改正食品衛生法⑥~
- 輸入食品の安全証明の充実~改正食品衛生法⑦~
- 原料原産地表示制度の改正について
- 景品表示法における「表示」について
- 食品の表示・広告に関する法律
- 食品に関して景品表示法違反が問題となった実例