食品表示に関する法律

 

 食品表示に関する主な法規制としては、以下の法律が挙げられます。

食品表示法

 食品表示法は、食品表示に関する基準を定める法律で、食品衛生法・JAS法・健康増進法の三法の食品表示に関する規定を一元化した法律として平成27年4月に施行されました。同法の委任を受けた「食品表示基準」(内閣府令)は、「加工食品」「生鮮食品」などといった区分ごとに、義務表示事項、任意表示事項、表示方式、表示禁止事項の4つを定めており、食品表示はかかる基準に従って行う必要があります。

 同基準に違反した場合は、消費者庁長官等による回収等の指示・命令がなされ、なおも従わない場合には、懲役または罰金が科されます。また、立入検査や消費者団体による差止請求がなされる場合もあります。

食品衛生法

 食品表示法は、食品衛生法・JAS法・健康増進法の三法の規定を一元化したものですが、これらの三法の規定のうち食品表示法に移行しなかったものについては、従前どおり食品表示を規制する規定として機能しているため、注意が必要です。

 そして、食品衛生法は、食品、添加物、容器包装等に関し、公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽・誇大な表示・広告を禁止しています。

 そのような虚偽・誇大表示等を行った場合は、懲役または罰金が科されるほか、営業許可の取消し・営業禁止・営業停止等といった処分や、廃棄命令または危害を除去するために必要な措置の命令等を受けるおそれがあります。

農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)

 旧JAS法は、JAS規格制度について定めるほか、品質表示基準制度について定めていましたが、食品表示法の制定に伴い、飲食料品に関する品質表示基準は廃止されました。もっとも、加工食品および添加物に関しては、令和2年3月31日まで、従前の加工食品品質表示基準による表示が経過措置として認められています。

健康増進法

 健康増進法は、国民の健康の増進、国民保健の向上を目的とする法律で、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示および著しく人を誤認させるような表示を禁止しています。

 そのような表示を行った場合には、消費者庁長官等による指導・勧告、勧告に係る措置をとるべきことの命令がなされ、それでもなお従わない場合には、懲役または罰金が科されます。

景品表示法

 一般消費者の利益保護を目的とする法律で、表示の義務付けを制度趣旨とする食品表示法と異なり、特定の表示の禁止を趣旨としています。具体的には、①優良誤認表示(品質が実際のものよりも著しく優良であると示すもの)、②有利誤認表示(取引条件が実際のものよりも著しく有利であると示すもの)、③その他の不当表示の3つの不当表示について規制しています。

 食品表示が同法の不当表示に当たる場合は、消費者庁長官または都道府県知事による措置命令がなされ、なおも従わない場合には懲役または罰金が科されます。また、消費者庁長官による行政指導(警告、注意)がなされる場合もあり、平成29年度は、措置命令が51件、指導が168件となっています。

不正競争防止法

 不正競争の防止を目的とする法律で、商品やその広告等に、原産地、品質、内容、製造方法、用途もしくは数量について誤認させるような表示をすること、および、そのような表示をした商品の譲渡・引渡し、そのための展示・輸出・輸入等を「誤認惹起行為」として禁止しています。

 同法に違反した場合には、基本的に、民事上の差止請求や損害賠償請求がなされますが、不正の目的をもって上記誤認惹起行為を行った場合、および、商品の原産地等について虚偽の表示を行った場合は、懲役または罰金が科されます。

その他の法規制

 その他、食品表示に関する法律としては、適正な計量の基準を策定する計量法や容器包装の識別表示等について定める資源有効利用促進法等が挙げられます。

 また、酒類販売における表示義務を定める酒類業組合法や、国内牛肉の個体識別番号の表示を義務づける牛肉トレーサビリティ法、米穀等の産地情報の表示を義務づける米トレーサビリティ法、通信販売等における表示義務、虚偽・誇大広告の禁止等を定める特定商取引法等、特定の取引分野における表示・広告を規制する法律も存在するため、注意が必要です。

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