食品表示法に基づく食品表示制度

食品表示法に基づく食品表示制度 

1 はじめに 

 従来、我が国の食品表示については、JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)・食品衛生法・健康増進法がそれぞれ規定していました。これらの法律による食品表示に関するルールを一元化するものとして(※)、平成25年6月、食品表示法が成立・公布され、同法に基づいて策定された食品表示基準と共に、平成27年4月に施行されています。 

 

※ 一元化された3法が定める食品表示を規制する規定には、食品表示法に移行しなかったものもありますので、ご注意ください。

 

 以下では、この食品表示法に基づく食品表示制度の概要を説明するとともに、それに違反した場合に受け得る行政処分や刑事罰等についてご紹介します。 

 なお、食品の表示に関連する法律には、食品表示法のように、広く食品について一定の事項の表示を義務付けることを基本とするものの他に、消費者の誤解を招くような表示を禁止している法律や、特定の取引分野における表示を規制する法律もあります。これらの法律につきましては、別に「食品の表示・広告に関する法律」として本サイトにおいて概要をまとめています。こちらの記事もご参照ください。 

>>「食品の表示・広告に関する法律」 

 

2 食品表示基準とは 

(1)食品表示基準の位置づけ 

 食品表示法は、第4条において、内閣府令で、「食品」及び「食品関連事業者等」の区分ごとに、消費者が安全に摂取し、かつ自主的かつ合理的に選択するために、必要と認められる事項を内容とする、販売の用に供する食品に関する表示の基準を定めることとしています(第1項)。そして、同法第5条は、食品関連事業者等はこの基準に従った表示がされていない食品の販売をしてはならないと規定しています。 

 食品表示法は、このように、食品に関する表示の基準を、法律で明記するのではなく、内閣府令で定めることとしており、この規定に基づいて策定された内閣府令が「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号)です。 

(2)食品表示基準の構成 

 食品表示基準は、次のように、「食品」及び「食品関連事業者等」の区分ごとに表示の基準を定めています。 

1章 総則 

第1条(適用範囲)、第2条(定義) 

2章 加工食品 

[第1節] 

食品関連事業者に係る基準 

 

 

[第1款] 

一般用 

加工食品 

第3条 

横断的義務表示 

第4条 

個別的義務表示 

第5条 

義務表示の特例 

第6条 

推奨表示 

第7条 

任意表示 

第8条 

表示の方式等 

第9条 

表示禁止事項 

[第2款] 

業務用 

加工食品 

第10条 

義務表示 

第11条 

義務表示の特例 

第12条 

任意表示 

第13条 

表示の方式等 

第14条 

表示禁止事項 

[第2節] 

食品関連事業者以外の販売者に係る基準 

第15条 

義務表示 

第16条 

表示の方式等 

第17条 

表示禁止事項 

3章 生鮮食品 

[第1節] 

食品関連事業者に係る基準 

[第1款] 

一般用 

生鮮食品 

第18条 

横断的表示事項 

第19条 

個別的表示事項 

第20条 

義務表示の特例 

第21条 

任意表示 

第22条 

表示の方式等 

第23条 

表示禁止事項 

[第2款] 

業務用 

生鮮食品 

第24条 

義務表示 

第25条 

義務表示の特例 

第26条 

任意表示 

第27条 

表示の方式等 

第28条 

表示禁止事項 

[第2節] 

食品関連事業者以外の販売者に係る基準 

第29条 

義務表示 

第30条 

表示の方式等 

第31条 

表示禁止事項 

4章 添加物 

[第1節] 

食品関連事業者に係る基準 

第32条 

義務表示 

第33条 

義務表示の特例 

第34条 

任意表示 

第35条 

表示の方式等 

第36条 

表示禁止事項 

[第2節] 

食品関連事業者以外の販売者に係る基準 

第37条 

義務表示 

第38条 

表示の方式等 

第39条 

表示禁止事項 

5章 雑則 

第40条(生食用牛肉の注意喚起表示)、第41条(努力義務) 

(3)食品表示基準の適用範囲 

食品表示基準は、第1条(適用範囲)において、この府令は、食品関連事業者等が、加工食品、生鮮食品又は添加物を「販売」する場合について適用する、としています(「食品関連事業者等」や食品の分類については、(4)食品の分類、(5)食品関連事業者等の区分で説明します)。 

この「販売」について、食品表示法は、第1条(目的)の括弧書きで、不特定又は多数の者に対する販売以外の譲渡を含むものとしています。これは、たとえ無償の譲渡であっても、不特定又は多数の者に対して食品を譲渡する場合は、販売と同等の規制を課すことが適当であると考えられるためです(※1)。したがって、食品表示基準においても、「販売」には、有償での譲渡の他、不特定又は多数の者に対する無償での譲渡を含むことになります(これに対し、特定かつ少数の者に対して無償で譲渡する場合は、「販売」には該当しません。※2)。

 

※1 消費者庁次長「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号、最終改正:令和6年4月1日消食表第213号)(下記URL)の(総則関係)の1の(1) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_201.pdf

 

※2 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第1章 総則」(下記URL)の「第1条関係」の(総則-2) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_209.pdf

 

 また、食品表示基準は、第1条のただし書きにおいて、この府令は、加工食品又は生鮮食品を「設備を設けて飲食させる場合」には、第40条(生食用牛肉の注意喚起表示)の規定を除き適用しない、としています。 

 ここで、「設備を設けて飲食させる場合」とは、具体的には、レストランや食堂、喫茶店等の外食事業者による食品の提供を指します(飲食店で提供される状態のものを自宅へ届けてもらうなどの外食事業者による出前を含みます。)(※1)。なお、外食事業者が、別の場所で製造・加工したものを仕入れ、飲食させる場合については食品表示基準に基づく表示をする必要はありませんが、単に販売する場合については、製造・加工した者又は販売をする者のいずれかが表示を行う必要があります(※2) 

 

※1・2 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第1章 総則」(下記URL)の「第1条関係」の(総則-4) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_209.pdf

 

 

(4)食品の分類 

 食品表示基準は、「食品」の区分ごとに表示の基準を定めていますが、この「食品」の分類については、次のように定めています(食品表示基準第2条1項第1号乃至第5号、同第3条1項柱書き括弧書き、同18条1項柱書き括弧書き、同32条1項柱書き括弧書き。添加物については、食品表示法第2条1項、食品衛生法4条2項) 

加工食品(製造又は加工された食品として食品表示基準別表第1に掲げるもの) 

業務用加工食品 

加工食品のうち、消費者に販売される形態となっているもの以外のもの 

一般用加工食品 

加工食品から業務用加工食品を除いたもの 

生鮮食品(加工食品及び添加物以外の食品として食品表示基準別表第2に掲げるもの) 

業務用生鮮食品 

生鮮食品のうち、加工食品の原材料となるもの 

一般用生鮮食品 

生鮮食品から業務用生鮮食品を除いたもの 

添加物(食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物) 

業務用添加物 

添加物のうち、消費者に販売される形態となっているもの以外のもの 

一般用添加物 

添加物から業務用添加物を除いたもの 

(5)食品関連事業者等の区分 

 食品表示基準は、「食品関連事業者」とそれ以外の販売者を区別して表示の基準を定めていますが、この区分については次のとおりです。 

食品関連事業者 

食品の製造、加工(調整及び選別を含む。)若しくは輸入を業とする者(当該食品の販売をしない者を除く。)又は食品の販売を業とする者(食品表示法第2条3項第1号) 

食品関連事業者以外の販売者 

反復継続性のない販売を行う者。例えば、小学校のバザーで袋詰めのクッキーを販売する保護者や、町内会の祭りで瓶詰めの手作りジャムを販売する町内会の役員等が想定されます(※)。 

 

 

※ 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第1章 総則」(下記URL)の「第1条関係」の(総則-10 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_209.pdf

 

以上のような区分・構成で、食品表示基準は、食品の表示についてのルールを規定しています。 

以下では、食品関連事業者が一般用加工食品を販売する場合を例に、食品表示基準が定める食品表示の基本的なルールについて説明します。 

 

3 食品表示のルール(食品関連事業者が一般用加工食品を販売する場合) 

食品表示基準は、食品表示のルールとして、上記2の(4)食品の分類、(5)食品関連事業者等の区分ごとに、義務表示事項、任意表示事項、表示方式、表示禁止事項等を定めています。 

食品関連事業者が一般用加工食品を販売する場合の食品表示のルールについては、上記2・(2)食品表示基準の構成のとおり、食品表示基準の第2章第1節第1款が定めています。 

(1)表示の対象 

食品関連事業者が一般用加工食品を販売する場合、表示の対象となるのは、「容器包装に入れられた加工食品」です(食品表示基準第3条1項柱書き)。 

ここで、「容器包装に入れられた加工食品」とは、加工食品を容器包装しているもので、そのままの状態で消費者に引き渡せるものをいいます(※1)。これに対し、例えば、串に刺してある焼き鳥をそのまま販売する場合や、トレイに載せた加工食品(ラップ等で包装しないもの)、消費者に渡す際に紙・ビニール等で包装しただけの加工食品は、容器包装に入れられた加工食品に該当せず、表示義務の対象とはなりません(※2)。 

 

※1・2 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第2章 加工食品」(下記URL)の「第3条第1項関係(一般用加工食品-横断的義務表示①)」の(加工-2) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_210.pdf

 

(2)義務表示事項 

 食品表示基準が義務付ける表示事項には、食品に共通して表示が義務付けられる「横断的義務表示事項」と、特定の食品を販売する際に表示が義務付けられる「個別的義務表示事項」があります。 

ア 横断的義務表示事項 

 食品関連事業者が一般用加工食品を販売する場合の「横断的義務表示事項」には、全ての一般用加工食品を対象とするもの(食品表示基準第3条1項)と、一定の範囲の一般用加工食品を対象とするもの(同条第2項)があります。 

【食品表示基準第3条1項が定める横断的義務表示事項

・ 名称

・ 保存の方法

・ 消費期限又は賞味期限

・ 原材料名

・ 添加物

・ 内容量又は固形量及び内容総量

・ 栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムをいいます。)の量及び熱量

・ 食品関連事業者の氏名又は名称及び住所・ 製造所又は加工所の所在地(輸入品にあっては輸入業者の営業所の所在地、乳にあっては乳処理場(特別牛乳にあっては特別牛乳搾取処理場)の所在地)及び製造者又は加工者の氏名又は名称(輸入品にあっては輸入業者の氏名又は名称、乳にあっては乳処理業者(特別牛乳にあっては特別牛乳搾取処理業者)の氏名又は名称) 

  これらの表示事項については、食品表示基準第3条1項の表の上欄の各表示事項に対応した下欄に定める表示の方法に従い表示されなければなりません(※)。ただし、食品表示基準別表第4の上欄に掲げる食品にあっては、同表の中欄に掲げる表示事項について、同表の下欄に定める表示の方法に従い表示されなければなりません。 

 

※ 栄養成分表示については、事業者向けに、消費者庁食品表示企画課「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン(第4版)」(令和4年5月)が作成されています。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/business/assets/food_labeling_cms206_20220531_08.pdf

 

【食品表示基準第3条第2項が定める横断的義務表示事項】 

対象食品 

表示事項 

別表第14に掲げる食品(特定原材料)を原材料とする加工食品(当該加工食品を原材料とするものを含み、抗原性が認められないものを除きます。)及び特定原材料に由来する添加物(抗原性が認められないもの及び香料を除きます。)を含む食品 

アレルゲン 

 

アスパルテームを含む食品 

L―フェニルアラニン化合物を含む旨 

指定成分等含有食品(※1) 

指定成分等含有食品である旨 

食品関連事業者の連絡先 

指定成分等について食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物である旨 

体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨及び食品関連事業者に連絡すべき旨 

特定保健用食品 

特定保健用食品である旨 

許可等を受けた表示の内容 

栄養成分(関与成分を含みます。)の量及び熱量 

一日当たりの摂取目安量 

摂取の方法 

摂取をする上での注意事項 

バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言 

関与成分について栄養素等表示基準値が示されているものにあっては、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該関与成分の栄養素等表示基準値に対する割合 

調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項 

機能性表示食品 

機能性表示食品である旨 

科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性 

栄養成分の量及び熱量 

一日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量 

一日当たりの摂取目安量 

届出番号 

食品関連事業者の連絡先 

機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない旨 

摂取の方法 

摂取をする上での注意事項 

バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言 

調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項 

疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない旨 

疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦に対し訴求したものではない旨 

疾病に罹患している者は医師、医薬品を服用している者は医師、薬剤師に相談した上で摂取すべき旨 

体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨 

別表第17の下欄及び別表第18の中欄に掲げる加工食品 

 

遺伝子組換え食品に関する事項 

乳児用規格適用食品(※2) 

乳児用規格適用食品である旨 

輸入品以外の加工食品 

原料原産地名 

輸入品 

原産国名 

これらの表示事項については、食品表示基準第3条2項の表の中欄の各表示事項に対応した下欄に定める表示の方法に従い表示されなければなりません。

 

※1 指定成分等含有食品とは、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であって、厚生労働大臣及び内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて指定したもの(指定成分等)を含む食品をいいます(食品衛生法第8条第1項)。

 

 

 令和6年7月1日現在、指定成分等として指定されているのは、次の4つです(「食品衛生法第八条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する指定成分等」(令和2年3月27日厚生労働省告示第119号))。なお、指定成分等は別名で流通していることもあります(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第8条の施行に伴う関係法令等の整備について」(令和2年3月27日生食発0327第3号)(下記URL)の第2を参照)。

 

・ コレウス・フォルスコリー

・ ドオウレン

・ プエラリア・ミリフィカ

・ ブラックコホシュ 

https://www.mhlw.go.jp/content/000617029.pdf 

 

※2 乳児用規格適用食品とは、次のものをいいます(食品表示基準第3条2項)。 

・ 「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)第1食品の部A食品一般の成分規格の項の12に規定する乳児の飲食に供することを目的として販売する食品(乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品であって、乳児の飲食に供することを目的として販売するものを除く。) 

・ 「内閣総理大臣が定める放射性物質」(平成24年厚生労働省告示第129号)第2号に規定する乳児の飲食に供することを目的として販売する乳製品(乳飲料を除く。)並びに乳及び乳製品を主要原料とする食品の規格が適用される食品

 イ 個別的義務表示事項 

 食品関連事業者が、一般用加工食品のうち食品表示基準別表第19の上欄に掲げる食品を販売する際(設備を設けて飲食させる場合を除く。)には、同表の中欄に掲げる表示事項が同表の下欄に定める表示の方法に従い表示されなければなりません(食品表示基準第4条) 

例えば、「トマト加工品」と「乾めん類」については、下記のような内容の表示が必要になります。 

「トマト加工品」 

 「使用上の注意」(内面塗装缶以外を使用した缶詰に限る。) 

 「形状」(固形トマトに限る。) 

 「『濃縮トマト還元』の用語」(濃縮トマトを希釈して製造したトマトジュースに限る。) 

 「トマトの搾汁を濃縮した度合」(トマトピューレー及びトマトペーストに限る。) 

 「トマトの搾汁の含有率」(トマト果汁飲料に限る。) 

「乾めん類」

 「調理方法」 

 「そば粉の配合割合」(そば粉の配合割合が30パーセント未満の干しそばに限る。) 

(3)義務表示事項の省略 

 義務表示事項(上記(2))については省略規定があります。 

食品表示基準第3条第3項の表の下欄に掲げる区分に該当する食品については、横断的義務表示事項(上記(1)ア)のうち、同表の上欄に掲げる表示事項の表示を省略することができます。 
 例えば、「でん粉」、「チューインガム」、「冷菓」、「砂糖」、「アイスクリーム類」、「食塩及びうま味調味料」、「酒類」、「飲料水及び清涼飲料水」、「氷」に該当する食品については、「消費期限又は賞味期限」の表示を省略することができます。 

また、容器包装の表示可能面積がおおむね30平方センチメートル以下である一般用加工食品については、食品表示基準別表第19の中欄に掲げる個別的義務表示事項(上記(1)イ)の表示を省略することができます(食品表示基準第4条ただし書き)。 

(4)義務表示の特例 

 次の場合には、食品表示基準第5条の表の各場合に対応した下欄に掲げる表示事項の表示を要しません(食品表示基準第5条第1項)。 

酒類を販売する場合 
食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合 
不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く。)する場合  

例えば、の場合、「原材料名」、「アレルゲン」、「原産国名」の表示を要しません。 

また、の「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」とは、製造者と販売者が同一で、同一の施設内、敷地内で製造販売することをいい、菓子店やパン店等がその場で行う食品の製造販売や、そうざいや刺身盛り合わせ等をインストア加工し、当該店内で販売する等が該当します(※)。 

 そして、このの場合において、「名称」を表示する際には、食品表示基準第3条1項ただし書き(別表第4に掲げる食品についての表示方法の規定)と、同項の表の「名称」の項目の2(別表第5に掲げる名称制限に関する規定)は適用されません(食品表示基準第5条2項)

 

※ 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第2章 加工食品」(下記URL)の「第5条関係(一般用加工食品-義務表示の特例)」の(加工―191)。ただし、仕入れ、切断、成形、解凍、小分け、再包装、温め直し等の行為はインストア加工には当たらず、スーパーマーケット等のバックヤード等で行った場合であっても特例の適用はありません(加工-190)。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_210.pd

 

(5)推奨・任意表示事項 

 食品表示基準が定める表示事項には、義務表示事項(上記(2))のほか、「推奨表示事項」、「任意表示事項」があります。 

義務表示事項は、基準に従った表示がなされていない場合、食品表示法に基づく行政措置等の対象となります。これに対し、推奨表示事項や任意表示事項は、表示をする義務はありませんが、表示を行う場合には食品表示基準に沿った方法で表示する必要があり、これに違反すれば行政措置等の対象となります(※1)。 

ア 推奨表示事項 

食品表示基準第6条は、食品関連事業者が一般用加工食品を販売する際の推奨表示事項として、「飽和脂肪酸の量」と「食物繊維の量」を挙げています。これらの事項は、事業者における表示の実行可能性の観点から表示の義務は課さないものの、国民の摂取状況、生活習慣病との関連等の観点から表示の必要性が高いと考えられ、将来的な表示義務化を見据え、任意表示事項よりも優先度が高いものとして規定されています(※2)。 

なお、アレルゲンを含む食品には、過去に一定の頻度で健康被害が見られたために、特定原材料に準ずるものとして、表示を推奨している品目があります(下記4、(1)参照)。このアレルゲンの推奨表示は、「通知」により表示を推奨されているものです。基準に従った表示がされていない場合でも、食品表示法違反となることはありませんが、食品表示基準に準じて積極的に表示を行うことが推奨されています(※3)。

 

※1、2、3 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第2章 加工食品」(下記URL)の「第6条関係(一般用加工食品-推奨表示)」の(加工-195) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_210.pdf

 

イ 任意表示事項 

任意表示事項として、食品表示基準第7条は次の表示事項を挙げています。これらの表示事項を容器包装に表示する場合には、定められた表示の方法に従い表示する必要があります。 

・ 特色のある原材料等に関する事項(※) 

・ 栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムを除く。) 

・ ナトリウムの量(ナトリウム塩を添加していない食品の容器包装に表示される場合に限る。)  

・ 栄養機能食品に係る栄養成分の機能  

・ 栄養成分の補給ができる旨  

・ 栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨  

・ 糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)を添加していない旨 

・ナトリウム塩を添加していない旨 

 

※ 特色のある原材料等に関する事項については、 酒類を販売する場合、 食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合、 不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く。)する場合は除きます(食品表示基準第7条柱書き括弧書き)。

 

(6)表示の方式 

食品表示基準第8条は、表示の方式について定めています。 

一般用加工食品について、食品表示基準第3条、4条で定める表示事項は、容器包装を開かないでも容易に見ることができる見やすい箇所に、基本的に同別記様式1のように一括して表示します(栄養成分の量及び熱量の表示については、同別記様式2、3を参照)。 

 

表示は邦文により、文字は原則としてJIS規格の8ポイント以上の大きさで表示します(食品表示基準第8条。ただし、同別表第20に掲げる食品については、同表で定める様式及び方法により表示する必要があります。) 

(7)表示禁止事項 

 食品表示基準第9条は、同第3条、第4条、第6条及び第7条に掲げる表示事項に関して、「実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語」など、消費者に誤解を与えるような事項を容器包装に表示することを禁止しています(食品表示基準第9条第1項各号。その他、同別表第22に掲げる食品については、同表に掲げる表示禁止事項を容器包装に表示してはいけません。同第9条第2項)。 

例えば、「実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語」としては、次のものが該当します(※)。 

・ 特定の原産地のものや有機農産物など、特色のある原材料を使用していないにもかかわらず、当該特色のある原材料を使用した旨を強調した表示 

・ 添加物を使用した加工食品であるにもかかわらず「無添加」と表示 

など

 

※ 消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「第2章 加工食品」(下記URL)の「第9条関係(一般用加工食品-表示禁止事項)」の(加工-277)。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_210.pdf

 

 

4 近年の食品表示基準の改正について 

平成27年に食品表示法及び食品表示基準が施行された後、食品表示基準は幾度か改正されています(※)。 

 

※ 消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_230313_01.pdf

 

そのうち、平成29年の改正による、輸入品を除く加工食品への原料原産地表示の義務化については、別に「原料原産地表示制度の改正について」としてまとめておりますので、そちらをご参照ください。  

>>「原料原産地表示制度の改正について」 

ここでは、令和5年以降に改正のあった「食物アレルギー表示」と「遺伝子組換え表示」について、改正事項を含め、概要を説明いたします。 

(1)食物アレルギー表示 

健康被害を引き起こすアレルゲン(食物アレルギーの原因となる物質)には、実際のアレルギー発症数や重篤度等に差異があり、食品表示基準は、そのうち、表示の必要性の高いものを別表第14に掲げ、「特定原材料」として、表示義務の対象としています(食品表示基準第3条第2項)。 

また、アレルギー表示の対象としては、特定原材料に準ずるものとして、「食品表示基準について」(平成27年3月30日付消食表第139号)という通知(※)が表示を推奨している「準特定原材料」があります。

 

※ 消費者庁次長「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号、最終改正:令和6年4月1日消食表第213号)の「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」(下記URL)の「第1 アレルゲンを含む食品に関する表示の基準」の「2 表示の対象」の(2)(特定原材料に準ずるもの) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_203.pdf

 

具体的には、以下のものがアレルギー表示の対象となっています(令和6年7月1日現在)。 

特定原材料 

(8品目) 

えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ) 

準特定原材料 

(20品目) 

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン 

このうち、「くるみ」は、従前は準特定原材料でしたが、令和5年3月9日に「食品表示基準の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第15号)が公布され、特定原材料に追加されたものです(※1)。 

また、令和6年3月28日に、「食品表示基準について」の一部が改正され、準特定原材料として「マカダミアナッツ」が追加され、「まつたけ」が削除されました(※2)。

 

 ※1 「くるみ」を含む食品のアレルギー表示は、令和7年3月31日までに製造され、加工され、又は輸入される加工食品(業務用加工食品を除く)及び同日までに販売される業務用加工食品については、従前の例によることができますが、特定原材料は、重篤な健康危害を発症するものなので、速やかに表示することが望まれています(消費者庁食品表示企画課長「食品表示基準Q&Aについて」(平成27年3月30日消食表第140号)別添「食品品表示基準Q&A」(最終改正 令和6年4月1日消食表第 214 号)の「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」(下記URL)  の「I.行政の取組、その他」の(I-9))。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_211.pdf 

 

※2 消費者庁次長「『食品表示基準について』の一部改正について」(令和6年3月28日消食表第189号) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240328_05.pdf

 

そして、食品表示基準は、特定原材料を原材料とする加工食品(当該加工食品を原材料とするものを含み、抗原性が認められないものを除きます。)や、特定原材料に由来する添加物(抗原性が認められないものや香料を除きます。)を含む加工食品、特定原材料に由来する添加物を含む一定の生鮮食品、特定原材料に由来する添加物について、アレルゲンの表示を義務的表示事項としています(加工品について、食品表示基準第3条2項・10条第1項第8号、生鮮食品について同19条・24条1項5号及び別表24、添加物について同32条2項・3項)(※)。

 

※ ただし、適用が除外される場合があります(食品表示基準第1条ただし書き、5条1項、第10条1項柱書きの括弧書き、第11条1項、19条括弧書き、24条1項柱書きの括弧書き)。

 

 アレルゲンの表示としては、特定原材料を原材料とする加工食品については特定原材料を含む旨(原則、「原材料名(~を含む)」と記載します。)を、特定原材料に由来する添加物やこのような添加物を含む食品については添加物の物質名と特定原材料に由来する旨(原則、「物質名(~由来)」と記載します。)を表示します。 

例:「マヨネーズ(卵を含む)」、「ベーキングパウダー(小麦由来)」 

(2) 遺伝子組換え表示 

 遺伝子組換え技術(組換えDNA技術)は、酵素等を用いた切断及び再結合の操作により、DNAをつなぎ合わせた組換えDNAを作製し、それを生細胞に移入し増殖させる技術で(食品表示基準第2条1項13号)、農作物等の改良に有用です。 

他方で、遺伝子組換え技術では、ある作物に本来有しない遺伝子を組み込むことになり、その作物の安全性を確保するため、その作物やこれを原材料とする食品(遺伝子組換え食品)を製造・輸入・販売するには、「食品衛生法」や「食品安全基本法」による安全性審査を受ける必要があります 

 そして、消費者の自主的・合理的な食品選択を実現するため、遺伝子組換え食品については、食品表示基準によって、以下のような表示制度が設けられています。 

なお、遺伝子組換え表示については、別に「遺伝子組換え食品の表示制度について」としてまとめておりますので、そちらもご参照ください。 

>>「遺伝子組換え食品の表示制度について」 

ア 遺伝子組換えに関する事項の表示の対象 

 食品表示基準は、「遺伝子組換え食品に関する事項」(加工食品)や「遺伝子組換え農産物に関する事項」(生鮮食品)の表示(義務表示・任意表示)に関する規定をおいています(食品表示基準第3条2項、同第18条2項)。 

 これらの規定が定める遺伝子組換え食品の表示制度が対象としている食品は、次のとおりです。 

対象農産物 

:組換えDNA技術を用いて生産された農産物の属する作目であって、食品表示基準別表第16が掲げる次の9作物(食品表示基準第2条1項14号、同第18条2項の表の「対象農産物」の欄の第1項の一、同別表第16)

大豆(枝豆及び大豆もやしを含む。)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな 

このうち、「なたね」と、下記③で挙げる「EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)産生なたね」は、厚生労働省による安全性審査を経て国内流通することが見込まれたことから、令和5年3月の食品表示基準の改正で、「対象農産物」及び③の「特定遺伝子組換え農産物」に追加されたものです。 

別表第17下欄の加工食品(33食品群) 

:①を原材料とし、加工工程後も組み換えられたDNA又はこれによって生じたたんぱく質が残存する加工食品として食品表示基準別表第17下欄に掲げるもの(食品表示基準第3条2項の表の「別表第17の下欄及び別表第18の中欄に掲げる加工食品」の欄の第1項、同別表第17下欄)。 

別表第18に掲げる形質を有する特定遺伝子組換え農産物 

:食品表示基準別表第18上段の形質を有する特定遺伝子組換え農産物(対象農産物のうち組換えDNA技術を用いて生産されたことにより、組成、栄養価等が通常の農産物と著しく異なるもの。食品表示基準第2条1項17号)を含む同表の下欄に掲げる次の対象農産物(食品表示基準第18条2項の表の「対象農産物」の欄の第1項の二、同別表第18上欄・下欄) 

ステアドリン酸産生大豆、高リシンとうもろこし、EPA・DHA産生なたね 

別表第18の特定遺伝子組換え農産物加工食品 

:③を原材料とする加工食品(これを原材料とする加工食品を含む。)であって、食品表示基準別表第18中欄に掲げるもの(食品表示基準第3条2項の表の「別表第17の下欄及び別表第18の中欄に掲げる加工食品」の欄の第2項、同別表第18中欄) 

イ 表示方法 

 これらの安全性が確認されたこれらの遺伝子組換え農産物とその加工食品については、次のように、食品表示基準により表示ルールが定められています(食品表示基準第3条第2項の表の「別表第17の下欄及び別表第18の中欄に掲げる加工食品」の欄、同第18条2項の表の「対象農産物」の欄)。 

【別表第17下欄の加工食品(33食品群)】の場合 

〈義務表示〉 

分別生産流通管理が行われたことを確認した遺伝子組換え農産物である対象農産物を原材料とする場合 

原材料名の次に括弧を付して「遺伝子組換えのものを分別」、「遺伝子組換え」等、分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え農産物である旨を表示 

例) 「大豆(遺伝子組換え)」など 

生産、流通又は加工のいずれかの段階で、遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物が分別されていない対象農産物を原材料とする場合 

原材料名の次に括弧を付して「遺伝子組換え不分別」等、遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物が分別されていない旨を表示 

例) 「大豆(遺伝子組換え不分別)」など 

〈任意表示〉 

 遺伝子組換え表示の任意表示として、以前は、分別生産流通管理(※)をした対象農産物及びそれらを原材料とする加工食品であれば「遺伝子組換えでない」旨の表示が可能でしたが、平成31年4月の食品表示基準の改正により、令和5年4月からは、分別生産流通管理をし、かつ遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる場合のみ、非遺伝子組換え農産物である旨の表示が可能となりました。 

遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われたことを確認した対象農産物を原料とする場合(※) 

当該原材料名を表示するか、又は、当該原材料名の次に括弧を付して、若しくは容器包装の見やすい箇所に当該原材料名に対応させて、遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われた旨を表示することができます。 

例) 「大豆」 
「大豆(遺伝子組換えが混入しないよう分別)」など 

遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われた旨を表示しようとする場合において、遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる対象農産物を原材料とする場合 

遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われた旨の表示に代えて、「遺伝子組換えでない」、「非遺伝子組換え」等遺伝子組換え農産物の混入がない非遺伝子組換え農産物である旨を示す文言を表示することができます。 

例) 「大豆(遺伝子組換えでない)」 
「大豆(非遺伝子組換え)」など

 

 ※ 分別生産流通管理を行ったにもかかわらず、「意図せざる遺伝子組換え農産物の一定の混入」があった場合においても、遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われたことの確認が適切に行われている場合には、同様の表示ができます(食品表示基準第3条2項「別表第17の下欄及び別表第18の中欄に掲げる加工食品」の欄3項)。この「意図せざる遺伝子組換え農産物の一定の混入」については、大豆及びとうもろこしについては5%以下が目安とされています。混入率が5%以下であっても、分別生産流通管理を確認していない場合や、意図的に遺伝子組換え農産物を混入した場合は該当せず、「分別生産流通管理済み」という表示は不適正な表示となります(消費者庁次長「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号、最終改正:令和6年4月1日)(下記URL)の(加工食品)の「1 義務表示事項」の「(11)遺伝子組換え食品に関する事項」の「 意図せざる混入について」)。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_201.pdf

 

ウ 表示禁止事項 

 遺伝子組換え表示に関連し、表示禁止事項(上記3(7))として、例えば一般用加工食品については、次に掲げる用語を容器包装に表示してはならないとされています(食品表示基準第9条1項4号・第5号。業務用加工食品については同14条、一般用生鮮食品については同第23条1項4号・5号、業務用生鮮食品については同第28条)。  

・ 遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われたことを確認した対象農産物を原材料とする食品(当該食品を原材料とするものを含む。)以外の食品について、当該食品の原材料である食品表示基準別表第17の上欄に掲げる作物に関し遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われた旨(遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる対象農産物である旨を含む。)を示す用語 

例)遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われたことを確認されていないにもかかわらず、「大豆(遺伝子組換えが混入しないように分別)」と表示 

・ 組換えDNA技術を用いて生産された農産物の属する作目以外の作目を原材料とする食品について、当該農産物に関し遺伝子組換えでないことを示す用語 

例)(遺伝子組換え農産物が存在しない農産物について)「この〇〇は遺伝子組換えと関係ありません。」、「この〇〇は遺伝子組換えの対象となっておりません。」、「この〇〇は遺伝子組換えではありません。」、「遺伝子組換え〇〇を使用していません。」と表示(※)

 

※ 消費者庁食品表示企画課「食品表示基準Q&A」(平成27年3月30日消食表第140号、最終改正:令和5年6月29日消食表第344号)の「別添 遺伝子組換え食品に関する事項」(下記URL)の「 表示禁止事項」の(GM-60)。なお、例えば「現在のところ、小麦や米については、遺伝子組換えのものは流通していません。」のように、一般に当該農産物については遺伝子組換えのものが存在していないということを表す表示を行うことは許容されます。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240328_11.pdf

 

 

 機能性表示食品制度 

 食品表示基準に基づき制度化された表示制度として「機能性表示食品」があります。この機能性表示食品制度については、令和6年3月に、「紅麹」関連製品によって多くの健康被害が発生していることが判明したことにより、今後見直しがなされる予定で。この点も含め、概要を説明いたします。 

(1)機能性表示食品の位置づけ 

 食品の中には、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されているものがあり、保健機能食品と呼ばれています(※)。

 

※ 消費者庁ホームページ「保健機能食品について」の「保健機能食品とは」(最終閲覧:令和6年7月1日) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims

 

 保健機能食品には、「栄養機能食品」「特定保健用食品」(トクホ)と、「機能性表示食品」の3つがあります。前二者は、元々は、健康増進法において制度化されていたものですが(その後、食品表示に関するルールが食品表示法に一元化されたことは、上記1のとおりです。)、「機能性表示食品」は、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるようにと、平成27年4月に食品表示基準によって新しく創設されたものです(※)。

 

※ 消費者庁「食品関連事業者の方へ 『機能性表示食品』制度がはじまります! 商品の開発・販売を考える前に」(平成27年7月改変)2頁(①「機能性表示食品」制度ができた背景) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_2.pdf

 

 保健機能食品の3つの食品は、それぞれ以下のように類型化されています(※1、2)。 

保健機能食品 

栄養機能食品 

特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示する食品。 

すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができます。 

機能性表示食品 

事業者の責任において、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づき表示した食品。 

販売前に、安全性及び機能性の根拠に関する情報等を、消費者庁長官へ届出します。 

特定保健用食品 

(トクホ) 

からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品。 

表示する効果や安全性については、国が審査を行い、消費者庁長官が許可します。 

 機能性表示食品については、消費者庁食品表示課長通知である「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(平成27年3月30日付け消食表第141号。以下、「機能性表示食品ガイドライン」といいます。※3)が作成され、届出の手続や、届出後に届出者が遵守すべき事項等が定められています。

 

※1 消費者庁食品表示課「栄養や保健機能に関する表示制度とは」(最終閲覧:令和6年7月1日) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_and_nutrition_labelling/

 

※2 消費者庁「食品関連事業者の方へ 『機能性表示食品』制度がはじまります! 商品の開発・販売を考える前に」(平成27年7月改変)3頁(③ 機能性が表示されている食品 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_2.pdf

 

※3 機能性表示食品ガイドライン(最終改正:令和6年4月1日消食表第 217 号) 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/notice_240401_01.pdf

 

 (2)要件 

機能性表示食品は、以下の要件を充足するものであることを要します(食品表示基準第2条第1項第10号)(※1)。 

 疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)を対象としているものであること 

 機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示しているものであること 

 機能性表示食品制度は食品全般を対象としているが、以下に掲げるものではないこと 

・特別用途食品(※2)及び栄養機能食品 
・アルコールを含有する飲料 
・国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な接種が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして健康増進法施行規則第11条第2項に規定する栄養素(脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)の過剰な摂取につながるもの) 

 当該食品に関する表示の内容、食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制その他必要な事項を販売日の60日前までに消費者庁長官に届出たものであること

 

※1 機能性表示食品ガイドライン(下記URL)の「 資料作成に当たっての考え方」の「(Ⅰ)総論」の「第1 機能性表示食品とは」参照 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/notice_240401_01.pdf

 

※2 「特別用途食品」とは、健康増進法に基づき、乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示(特別用途表示)を行うものをいいます(消費者庁食品表示課「栄養や保健機能に関する表示制度とは」(最終閲覧:令和6年7月1日))。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_and_nutrition_labelling/

 

(3)届出 

機能性表示食品の販売にあたっては、販売日の60日前までに、当該食品に関する表示の内容、食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制その他必要な事項を、消費者庁長官に届け出る必要があります(食品表示基準第2条1項10号)(※)。

 

※ 届出項目や届出に関する留意事項等については、機能性表示食品ガイドライン(下記URL)の「 資料作成に当たっての考え方」の「(Ⅶ)届出の在り方に係る事項」の「第2 機能性表示食品の届出」参照 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/notice_240401_01.pd

 

(4)表示事項 

 機能性表示食品において、可能な機能性表示の範囲は、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)の健康の維持及び増進に役立つ旨又は適する旨(疾病リスクの低減に係るものを除く。)を表現するものです(※)。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第2条に規定する医薬品と誤認されるおそれがないよう注意する必要があります。

 

※ 機能性表示食品ガイドライン(下記URL)の「 資料作成に当たっての考え方」の「(Ⅰ)総論」の「第2 可能な機能性表示の範囲 」の1 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/notice_240401_01.pdf

 

機能性表示食品を販売する場合、例えば一般用加工食品については、次の事項を容器包装に表示します(食品表示基準第3条第2項の表の「機能性表示食品」の欄。一般用生鮮食品の場合については同第18条第2項の表の「機能性表示食品」の欄)(※1)。容器包装に表示される事項以外の届出された内容(機能性表示の内容に関する科学的根拠情報等)については、消費者庁のwebサイト等で開示されます(※2)。 

・ 機能性表示食品である旨 
・ 科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有す る機能性 
・ 栄養成分の量及び熱量 
1日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量 
1日当たりの摂取目安量 
・ 届出番号 
・ 食品関連事業者の連絡先 
・ 機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない旨 
・ 摂取の方法 
・ 摂取をする上での注意事項 
・ バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言 
・ 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項 
・ 疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない旨 
・ 疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦に対し訴求したものではない旨 
・ 疾病に罹患している者は医師、医薬品を服用している者は医師、薬剤師に相談した上で摂取すべき旨 
・ 体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨

 

※1 表示事項及び表示の方法等についての留意事項については、機能性表示食品ガイドライン(下記URL)の「 資料作成に当たっての考え方」の「(Ⅵ)表示及び情報開示の在り方に係る事項 」の「第1 容器包装への表示」の1(サプリメント形状の加工食品又はその他加工食品)及び2(生鮮食品)参照 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/notice_240401_01.pd

 

※2 機能性表示食品の届出情報検索 
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/

 

(5)表示禁止事項 

機能性表示食品の表示に関連し、表示禁止事項(上記3(7))として、次に掲げる用語の表示が禁止されています(食品表示基準第9条第1項第8号、同第14条、同第23条1項第6号、業務用生鮮食品については同第28条)(※)。 

・ 疾病の治療効果又は予防効果を標榜する用語

例)「花粉症に効果あり」、「糖尿病の方にお奨めです」、「風邪予防に効果あり」等の表現 

・ 食品表示基準7条及び21条の規定(任意表示)に基づき「栄養成分の補給ができる旨」の表示及び「栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨」の表示をする場合を除き、消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(食品表示基準別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を含む。)を強調する用語

例)「○○たっぷり」、「△△強化」のような表示(栄養成分の補給ができる旨の表示及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示をする場合を除く。) 

・ 消費者庁長官の評価、許可等を受けたものと誤認させるような用語

例)「消費者庁承認」、「消費者庁長官許可」、「○○省承認」、「○○省推薦」、「○○政府機関も認めた」、「世界保健機関(WHO)許可」等国や公的な機関に届け出た、承認を受けた、と誤認させる表現 

・ 食品表示基準別表第9の第1欄に掲げる栄養成分の機能を示す用語

※ 表示例については、「食品表示基準について」の「別添 機能性表示食品」(下記URL)の「第3 表示が禁止される表現等表示に当たっての留意事項」によります。https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240401_204.pdf 

 また、保健機能食品(上記(1)参照)以外の食品にあっては、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語の表示が禁止されています(食品表示基準第9条第1項第10号、同第14条、同第23条1項第8号、業務用生鮮食品については同第28条)。

(6)機能性表示食品制度の見直しについて 

 令和6年3月、機能性表示食品として届け出られていた「紅麹」関連製品によって、多くの健康被害が発生していることが判明しました。この事案を受け、消費者庁は、有識者から構成される「機能性表示食品を巡る検討会」を設置し、機能性表示食品制度の今後の在り方について検討を行い、同年5月にその報告書が公表されました(※1)。その報告書による提言を受け、紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合は、以下のとおり、今後の対応を取りまとめました(※2)。

 

 ※1 機能性表示食品を巡る検討会「報告書」(令和6年5月27日) 
https://www.caa.go.jp/notice/other/caution_001/review_meeting_001/assets/consumer_safety_cms206_240527_01.pdf

 

※2 紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」(令和6年5月31日) 
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/benikoji/dai2/taiou.pdf

 

 

 食品表示法における行政処分、刑事罰等について 

 食品表示基準が定める食品表示のルールに反した不適正な食品表示に対しては、以下のような措置等がなされる可能性があります。 

(1) 指示等(食品表示法6条) 

 食品表示基準に定められた表示事項が表示されていない食品を販売し、又は販売の用に供する食品に関して表示事項を表示する際に食品表示基準に定められた遵守事項を遵守しない食品関連事業者については、表示事項を表示し、又は遵守事項を遵守すべき旨の指示が出される可能性があります(食品表示法第6条第1項・第3項)。 

 そして、かかる指示を受けた食品関連事業者が、正当な理由なくその指示に係る措置をとらなかったときは、当該措置をとるべき旨命じられる可能性があります(同条第5項)。 

 また、食品関連事業者等が、アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別、その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるもの(※1)について食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をし、又は販売しようとする場合において、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認められるときは、食品の回収その他必要な措置をとるべき旨を命じられ、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じられる可能性があります(同条第8項)(※2)。 

これらの指示又は命令が出された場合、その旨が公表されます(同第7条)。

 

※1 食品表示法第6条第8項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令(平成27年内閣府令第11号) 

 

※2 同項に基づく命令等の運用については、指針が定められています(消費者庁「食品表示法第6条第8項の規定に基づく命令等の指針」(平成27年3月20日)。 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/150320_shishin2.pdf 

 

なお、食品関連事業者等が、上記の食品表示法第6条第8項の内閣府令で定める事項について食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をした場合に、当該食品を回収するとき(同項の規定による命令を受けて回収するとき、及び消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれがない場合として同内閣府令4条で定めるときを除く。)は、同内閣府令5条で定めるところにより、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を届け出なければなりません(リコール情報届出制度:食品表示法10条の2第1項)。この届出があったときは、その旨が公表されます(同条第2項)(※)。

※ 厚生労働省「公開回収事案検索」 


https://ifas.mhlw.go.jp/faspub/IO_S010303.do?_errCheck=false&_searched=false&_sessionId=7C642330D7E5F217681BA2B4DED4893E&method=a_menu_r01Action&param=&_focus=actionlink_a_menu_r01&_posx=0&_posy=0&_rowidx=0&_language=&_timezoneOffset=-540&_status=&_labelMapArchive=&_wfinfo=&_wfinfo_RefParams=&_ActionHistoryList%5B0%5D.action=%2FIO_S010303 

(2)立入検査等(食品表示法8、9条 

 販売の用に供する食品に関する表示の適正を確保するため必要があると認められる場合には、販売の用に供する食品に関する表示について必要な報告若しくは帳簿、書類その他の物件の提出を求められ、又はその職員に、これらの者の事務所、事業所その他の場所に立ち入り、販売の用に供する食品に関する表示の状況若しくは食品、その原材料、帳簿、書類その他の物件を検査させ、従業員その他の関係者に質問させ、若しくは試験の用に供するのに必要な限度において、食品若しくはその原材料を無償で収去させることを求められる可能性があります(食品表示法第8条第1項乃至第3項)。 

 また、独立行政法人農林水産消費安全技術センターの職員により立入検査等がなされることもあります(同第9条1項)。 

(3) 適格消費者団体の差止請求権(食品表示法11条) 

 食品関連事業者が、不特定かつ多数の者に対して、食品表示基準に違反し、販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地について著しく事実に相違する表示をする行為を現に行い、又は行うおそれがある場合、適格消費者団体(消費者契約法24項)によって、当該行為の停止若しくは予防又は当該食品に関して著しく事実に相違する表示を行った旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求される可能性があります。 

() 刑事罰(食品表示法17条以下) 

食品表示法第6条第8項に基づく命令(上記(1)の第3段落)に違反した食品関連事業者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(食品表示法第17条)。 

法人(ここでは、人格のない社団又は財団で代表者又は管理者の定めのあるものを含みます。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して、同条に掲げる違反行為を行った場合、当該行為者が罰せられるほか、その法人は3億円以下の罰金刑に処されます(両罰規定:食品表示法第22条第1項第1号)。 

食品表示法第6条第8項に基づく内閣府令(※)で定める事項について、食品表示基準に従った表示がされていない食品を販売した食品関連事業者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(食品表示法第18条)。法人に対する両罰規定として、1億円以下の罰金刑の規定があります(同第22条1項2号)

※ 食品表示法第6条第8項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令(平成27年内閣府令第11号) 

食品表示基準において表示されるべきこととされている原産地(原材料の原産地を含みます。)について虚偽の表示がされた食品の販売をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されます(食品表示法第19条)。法人に対する両罰規定として、1億円以下の罰金刑の規定があります(同第22条第1項第2号) 

食品表示法第6条5項に基づく命令(上記(1)の第2段落)に違反した食品関連事業者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(食品表示法第20条)。法人に対する両罰規定として、1億円以下の罰金刑の規定があります(同第22条第1項第2号) 

次のいずれかに該当する食品関連事業者等は、50万円以下の罰金に処されます(食品表示法第21条)。法人に対する両罰規定として、50万円以下の罰金刑の規定があります(同第22条第1項第3号)。 

・ 食品表示法第8条第1項から第3項までの規定(上記(2)の第1段落)による報告若しくは物件の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出をし、又は同条第1項から第3項まで(上記(2)の第1段落)若しくは第9条第1項の規定(上記(2)の第2段落)による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者 

・ 食品表示法第8条第1項の規定(上記(2)の第1段落)による収去を拒み、妨げ、又は忌避した者 

・ 食品表示法第10条の2第1項の規定(リコール情報届出制度:上記(1)の第5段落)による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 

 

7 おわりに 

以上のとおり、食品の表示は、消費者が食品を選択し、摂取するうえでの重要な情報源であり、食品表示基準がそのために必要な表示のルールを定めています。そして、不適切な食品表示に対する上記6のような措置の規定が、規制の実効性を担保しています。 

 食品関連事業者の皆様には食品の表示ルールに則った適切な表示をする責務がありますが、上記のような表示ルールを正確に理解するのは容易ではなく、さらに、様々な要請により見直しがなされていきますので、継続的に注意を払う必要があります。 

 ご不明点等がございましたら、官公庁や弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。 

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